episode.76 ページ26
黒蘭の言葉に、
米津さんが身体をこわばらせる気配がした。
無論、私もだ。
闇に包まれたトンネルの中で、人知れずひっそりと身体を震わせる。
そんな私達のことなど気にも留めず、黒蘭は尚も話し続けた。
「貴方は一度でもAさんに対する想いを口にしたことがありますか？ありませんね？そもそもとして、そこから違うんです、貴方と俺は。結論から言いますが、貴方はAさんに俺ほどの強い想いを抱いていない、そう言わざるを得ません」
「……」
「俺は、貴方を試しました。Aさんにかける想いがどれほどのものか計りました。ですが、失望しましたよ。まさか、他ならぬ自分自身が放った取り返しのつかない言葉を都合よく忘れ、こうしてのこのこと俺の元にやってくるなんて」
「……」
「ほら、そうやって黙り込む。自分の都合が悪くなれば、そんな風にその場をやり過ごそうとする。そんな情けない貴方だから、俺は決意したんです。貴方なんかに、Aさんを幸せにする資格はない。だったら、だったら俺が――」
「…黒蘭」
漸く、米津さんが口を開いた。
彼の声は、黒蘭の冷然としたものとは反対に、感情がこもっている。
ちらりとトンネルの外を覗けば、黒蘭がたじろいでいる様子がありありと分かった。
「黒蘭、本当に申し訳ないと思ってる。まさか黒蘭が、Aのことが好きだなんて、そんなこと、俺には想像もつかなかった。本気でAを想ってる黒蘭からしたら、釈然としない態度を取ってばかりの奴なんて気に食わないよね。よく分かる。だから…諦めるよ」
「……！」
「黒蘭の言う通り、俺には資格がないんだってはっきり分かった。…でも、最後くらい、自分に正直になるべきかも知れない」
そうして、米津さんは口にする。
その言葉を。
「本当は、出会った時からAのことが――」
……とてもじゃないが、耐えられなかった。
全身に電流が走ったかのように、私の心を強い強い思いが支配した。
だから、後先も考えもせずに、飛び出したのだ。
隠れていたトンネルを。
「…米津さん……！！」
「A…？」
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ぽち - 更新ありがとうございます(*･ω･)*_ _)ﾍﾟｺﾘ (2019年9月23日 19時) (
レス) id: d5f649f093 (このIDを非表示/違反報告)
碧穂(??)(プロフ) - ぽちさん» コメントありがとうございます！更新が度々遅くなってしまい、申し訳ございません…。゜(´∩ω∩｀)゜。ご期待に応えられるよう頑張っていきますので、これからもお付き合いいただけると嬉しいです！ (2019年8月7日 23時) (レス) id: deb8b25063 (このIDを非表示/違反報告)
ぽち - 更新、待ってました！嬉しいです！ありがとうございます(*^^*)これからも応援してます！ (2019年8月7日 21時) (レス) id: d5f649f093 (このIDを非表示/違反報告)
碧穂(??)(プロフ) - ぽちさん» 再びコメントありがとうございます！いえいえ、お気になさらず！これからもaventure.をお楽しみいただけますと幸いです。 (2019年7月9日 18時) (レス) id: deb8b25063 (このIDを非表示/違反報告)
ぽち - こんばんは。この作品、本当に好きなんですが、ちょっと訳があってお気に入り登録できないんです…ごめんなさい。でも、星はたくさんつけて投票しました！登録できなくてごめんなさいm(_ _;)m (2019年7月6日 21時) (レス) id: d5f649f093 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朔月α・碧穂 x他1人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/adoa59721/
作成日時：2019年4月3日 21時
