story17【三千院紫苑】 ページ18
「僕は桜庭空です、えと…貴女は?」
そう言う赤い髪の少年。味方だというのは明らかで、紫苑は肩の力を抜くことが出来た。
この状況下なら、きっとこの子も不安を抱えているだろうと紫苑は考え、成る可く優しい顔と声で問いに答えた。そちらの方がきっと今後、話もしやすいだろう。
「私は三千院紫苑と申します。同じく、神様から加護をいただきました。紫苑と呼んでくださって結構です」
よろしくお願いしますね、と添えると「こちらこそ、よろしくお願いします」と、少年は頭を軽く下げた。
「あの、そんなに堅苦しくしなくても大丈夫ですよ、もっと軽く接してくだされば……」
「え、でも、紫苑さんも、敬語だし……」
「これは癖みたいなものですから、お気になさらず」
とりあえず、移動しましょうか、と歩きつつ、二人は会話を続けた。
静かな路地裏に二人の足音と、少しぎこちない会話が響く。
「空さん、でしたよね?」
「はい……じゃなくて、うん」
「あなたの加護の力は、どんなものだったのでしょう?」
興味と、少しの期待。神の加護というなら、もしかすれば死者を蘇らせるなどという奇跡的な力を持つ者がいるかもしれない。
そんな期待を込めて、紫苑は問い掛けた。
「僕は、治癒の力。怪我をしたら、その怪我を治すことができるんだ」
「治癒の力ですか。優しい力ですね」
「紫苑さんも、怪我をしたら僕に言ってね」
「ええ、ありがとうございます」
落胆はしなかった。きっと、しばらく日が経ったことで死を受け入れられているのだろうと紫苑は思った。
この力があるなら、これ以上犠牲を生むことも少なくなりそうだ。
「そういえば、その目の色は、加護と関係があるのですか?」
ふと、気になっていたことも聞いてみる。青と黄の、鮮やかな瞳。
所謂、オッドアイだ。
「えっと、うん。そうだよ」
次に紫苑がどう言うのか、身構えているように見える。
紫苑は、特に取り繕うこともなく正直に答えることにした。
「なんだか猫みたいで、可愛いですね」
「可愛いって……」
「ビームとか、出せたりします?」
「出せないよ……」
斜め上な紫苑の反応に、ついていけない様子だった。
思わず和んでしまった紫苑はくすくす笑った。
「ふふ、ごめんなさいね、そうだったら良いな、と思ってしまいました」
「そっか……」
路地裏の道ももう終わりそうだった。
「それで、何処へ向かいましょうか?」
紫苑は、初めて出会った仲間にそう問い掛けた。
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零(プロフ) - 更新終了致しました (2018年3月30日 7時) (レス) id: 481c4bde27 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 更新をさせて頂きます (2018年3月30日 6時) (レス) id: 481c4bde27 (このIDを非表示/違反報告)
赤城丸(プロフ) - プルポリーさん» いえ、多分大丈夫です。お疲れ様でした。 (2018年3月19日 14時) (レス) id: 06c4c5d35d (このIDを非表示/違反報告)
プルポリー(プロフ) - 本当にごめんなさい、、、もし、1ヶ月で占ツクを辞めることが出来ずに迷ってたら、もしかしたら、戻るかも知れませんがその時はよろしくお願いします、、一緒に合作した事は楽しませてもらいました!ありがとうございます (2018年3月19日 11時) (レス) id: c6282bb7de (このIDを非表示/違反報告)
プルポリー(プロフ) - 赤城丸さんその他参加者さん、参加したのですが、これから先新学期となり占ツクを辞めたいと思ってます、、、本当に自分勝手で許される行為じゃないのだと思っています本当にすみません、、勝手にキャラクターは動かすのを皆さんにお願いしたいです (2018年3月19日 11時) (レス) id: c6282bb7de (このIDを非表示/違反報告)
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