【n.p.l】朝焼 (ページ38)

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It’s gonna be alright, be alright, / 8 ページ38

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「…………ん、」

　瞼をゆるゆると持ち上げれば、あたりはまだ薄ぼんやりとした光に包まれていた。
　腕の下にはサラリとした夏用のシーツ。
　部屋に満ちる空気の冷たさにふるりと身を震わせ、ああもうそろそろ寝具も衣替えしなければな、なんて取り留めもない事を思う。

　微睡の中、いつものように抱き締めて暖を取ろうと左腕を伸ばしたところで、はたと気付く。
　彼女がいない。
　急速に覚めた目で時計を捉えれば、まだ針は朝の五時半を指し示していた。
　おかしい。
　だってAは朝起きるのが大の苦手で、今日みたいな日曜日はいつまでも起きてこないから、それまでに俺が洗濯や掃除を済ませて、ご飯の匂いでやっと起きてくるような子なのに。

　隣で寝ているはずの場所を指先で撫でる。
　体温は既に失せていて、ただシーツはヒヤリとした感触のみを俺に与える。
　トイレだろうか。
　いや、冷たいという事は随分長い間ベッドに戻っていないのだろう。
　いつも引っ付いてぷーすかと隣で寝ているAがいないというのは、まるで自分の中にぽっかり穴が空いてしまったようで、ああ。
　女々しいとは重々自覚しているが、俺。寂しいんだ。今。
　兎にも角にも愛しい彼女が何処へ行ってしまったのか、大捜索を開始しなければと決意して身体を起こした刹那、控えめに寝室のドアが開く。

　「あれえ、はっち起きたの。はやいねえ」

　「おは、よう……なにしてたの？」

　「えーと……その、にゃろめを吸ってた」

　なんとも歯切れの悪い返事。
　目もふらふらと彷徨っていて、嘘が下手なのが丸分かりだ。

　「こんな朝早くから？」

　「そうだよ！にゃろめが恋しくなっちゃった！」

　「へえ……俺は、お前が恋しかったのに」

　らしくない事を言ってしまった自覚はある。
　が、冬の気配を感じさせる早朝に一人きりというのは、どうにも堪えてしまったのだ。

　「どしたの急にめんこいこと言っちゃって！かあわいいねえ！」

　「うるさいな、いいだろ、たまにはこう言う事言ったって」

　ベッドに腰掛ける俺の頭をわしわしと撫でる小さな手を握って抱き寄せる。
　ああ、あたたかい。
　Aが腕の中でもぞもぞと動く。

　「そんなにさむい？」

　「寒い。お前がいないと、冬越せない」

　「……わたしね、早起きするの嫌いだけど、この季節のこの時間は好きなんだよ」

　きて！と手を引かれて、連れてこられたのはベランダ。