STORY 83 ページ33
「ありがとう！私皆のこと一生忘れません‼」
「A、幸せになりな！」
「はいっ‼」
その時、月子さんがゆめまるさんがしばゆーさんが最高の笑顔を私にくれた。
絶対に私は皆を忘れないから、ここで皆と暮らしたこと。
月子さんのぶっきらぼうなあたたかさも。
ゆめまるさんのさり気ない労わりも。
しばゆーさんの周りを照らす明るさも。
皆からもらったいっぱいの優しさを私は一生忘れない。
「行くぞ、A！」
見上げて大きく頷いた私の手を取り、てつやさんは長く伸びる宿の廊下を走り出した。
私達は追手から逃れる為必死に走り続けた。
この手を離したら今度こそもう二度とてつやさんとは一緒にいられないと思うと、しらずしらずにその手を強く握り締めていた。
そんな私に答えるようにてつやさんも握る手に力を入れてくれる。
かなりの距離を走って来たところで、私達は思わず足を止めてしまっていた。
なぜなら目の前にゆっくりとこちらへ近づいてくるりょうさんに気づいたから。
その姿にてつやさんは私を自分の背中へと隠す。
「やるじゃん、てつや。まさか駆け落ちとはね」
てつやさんと私の傍まで来てから立ち止まると、りょうさんはそう言って口の隅を上げた。
「りょう、悪いがAもらってくぞ」
真剣にそう告げたてつやさんに可笑しそうに喉を鳴らして笑ってから、りょうさんはてつやさんの背中越しにそちらを見つめていた私に優しく微笑んだ。
「早く、行けよ」
「え、りょうさん？」
「早く行かないと追手に捕まる。後は俺が何とかしとくから」
りょうさんはそれから、てつやさんの背中に隠れていた私をそっと抱きしめた。
「A、元気でな」
そう言って私から離れると、一度も振り返えることなく廊下をまた歩き出した。
「りょうさん、ありがとうございました‼」
その後ろ姿に向かって私は泣きながらそう叫ぶのがやっとだった。
あなたはどうして、どうしてそんなに優しいの…
だけどいつだって、どんな時もりょうさんは私に優しくしてくれた。
大きな愛情で私のことを包んでくれていた。
ありがとう、りょうさん。
本当にごめんなさい。
こんな私を愛してくれて本当に、本当にありがとう。
てつやさんと私は再び手に手を取り合うと共にこの宿を後にした。
互いへの想いを育んできたこの宿を…
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かえで(プロフ) - あいまるさん» 当時、悩みながら書いた作品だったのですがこうして今読んで頂けたことが私にとっては最高に嬉しいです。勿体無いほどの言葉を本当にありがとうございました！ (2021年4月27日 21時) (
レス) id: 7b9a694418 (このIDを非表示/違反報告)
あいまる(プロフ) - もう、感動の一言につきます。思わず涙をこらえるページもありました。こんな作品を生み出していただいて、ありがとうございます！この作品に出会えて良かったです！ (2021年4月26日 21時) (レス) id: 8885b9410d (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - りなさん» お気持ちだけ受け取ります、これからも無料でガンガン読んでやってくださいw有難いお言葉を本当にありがとうございました！ (2018年11月13日 8時) (レス) id: 7b9a694418 (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - すんばらしいです。。お金払って読みたいレベルです。。素敵なお話ありがとうございました^ ^ (2018年11月12日 0時) (レス) id: e2ead3d137 (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - オニク。さん» 有り難いお言葉をありがとうございました！とても励みになりました。 (2018年4月30日 14時) (レス) id: f1c141d7d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かえで
| 作成日時：2018年3月6日 17時
