STORY 73 ページ23
「りょうさん…」
「大丈夫か、まだ痛むか？」
若干お腹には鈍い痛みがしていたけれど、我慢できないほどではなかった。
私が首を左右に振るとそんな私を見て少しだけりょうさんは安心したようだった。
「そうか、傷は浅いみたいだけどあまり無理するな？」
「りょうさん、あの赤ちゃん…赤ちゃんは？」
私のその問い掛けにりょうさんの表情が一瞬で曇った。
その姿に私の不安が一気に募る。
「りょうさん…」
しばらく黙ったままで何も答えなかったりょうさんが、ゆっくり静かに首を横に振った。
「そんな…」
愛する人と。
てつやさんと別れなければならなかった私にとって、あの子は唯一の生きる希望だったのに…
小さな幸せをやっと手にしたと思っていた。
なのにそれすらも私は奪われてしまった。
耐えられずに私は肩を震わせ泣いていた。
瞳からは後から後から涙が溢れ出して止まらない。
「A…」
りょうさんがゆっくりと泣き続ける私の体を抱き起こし優しくその腕に包む。
「A、これからは俺がお前のことを守ってやる。俺がお前を幸せにしてやるから、俺のものになれ」
私が顔を上げると頬を流れる涙を長く綺麗な指でそっと拭って、りょうさんが私に優しく口付けてくる。
それを私は拒む事なく受け入れる。
瞳を閉じた瞬間、その口づけは少しずつ深くなっていった。
私は結局、りょうさんの優しさにすがってしまった。
分かっていてもこのぬくもりを今の私はどうしても突き放すことができなかった。
てつやさん、ごめんなさい。
なんだかもうこれ以上、何も考えることができない。
もう何も考えたくない…
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かえで(プロフ) - あいまるさん» 当時、悩みながら書いた作品だったのですがこうして今読んで頂けたことが私にとっては最高に嬉しいです。勿体無いほどの言葉を本当にありがとうございました！ (2021年4月27日 21時) (
レス) id: 7b9a694418 (このIDを非表示/違反報告)
あいまる(プロフ) - もう、感動の一言につきます。思わず涙をこらえるページもありました。こんな作品を生み出していただいて、ありがとうございます！この作品に出会えて良かったです！ (2021年4月26日 21時) (レス) id: 8885b9410d (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - りなさん» お気持ちだけ受け取ります、これからも無料でガンガン読んでやってくださいw有難いお言葉を本当にありがとうございました！ (2018年11月13日 8時) (レス) id: 7b9a694418 (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - すんばらしいです。。お金払って読みたいレベルです。。素敵なお話ありがとうございました^ ^ (2018年11月12日 0時) (レス) id: e2ead3d137 (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - オニク。さん» 有り難いお言葉をありがとうございました！とても励みになりました。 (2018年4月30日 14時) (レス) id: f1c141d7d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かえで
| 作成日時：2018年3月6日 17時
