STORY 68 ページ18
「ほらA、あんたはお母さんになるんだからそんな泣いてちゃダメ!お腹の子の為にも強くならなくちゃ!」
「はい!」
「大丈夫、あんたには皆がついてる」
月子さんが綺麗な綺麗な笑顔を添えて私にそう言ってくれた。
そんな言葉に耐え切れず、私は再び涙を溢した。
その後仕事に戻ろうとしたら今日はゆっくり休んだ方がいいと三人に止められて、私は皆の好意に甘えて床についていた。
正直、体の調子はあまり良くない。
起き上がると目は回るし少し気分も悪かった。
でもそれは全て赤ちゃんがお腹の中にいるからなんだと思うと嬉しさが込み上げてきて、そんな体調の悪さも苦にならない。
布団の中で少しうとうとしていた時のこと。
「A、ちょっといいか?」
そんな声がして、部屋の中に使用人仲間の一人が入ってきたので私は慌てて体を起こす。
「どうかしましたか?」
「お前に会いたいって客が来てる」
「お客様?」
「そうだ、早く行って来い」
私にお客が来るなんて、一体誰なんだろう。
そのまま起き上がってお客様が待っているという部屋に向かう為自室を出る。
「お待たせしました、Aです」
目的の部屋の前まで来ると、お客様に向けてそう声をかけたけれど中からの返事はなかった。
「すいません、失礼します…」
不思議に思いながらもう一度そう声をかけ私は部屋の戸をそっと開ける。
そして中で待っていたその人が私の目に飛び込んできた瞬間、あまりの衝撃にその場から動けなくなった。
「久しぶりだな、Aちゃん」
私を見てそう言うと口の隅を軽く上げたその人は…
「としみつさん…」
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かえで(プロフ) - あいまるさん» 当時、悩みながら書いた作品だったのですがこうして今読んで頂けたことが私にとっては最高に嬉しいです。勿体無いほどの言葉を本当にありがとうございました! (2021年4月27日 21時) (レス) id: 7b9a694418 (このIDを非表示/違反報告)
あいまる(プロフ) - もう、感動の一言につきます。思わず涙をこらえるページもありました。こんな作品を生み出していただいて、ありがとうございます!この作品に出会えて良かったです! (2021年4月26日 21時) (レス) id: 8885b9410d (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - りなさん» お気持ちだけ受け取ります、これからも無料でガンガン読んでやってくださいw有難いお言葉を本当にありがとうございました! (2018年11月13日 8時) (レス) id: 7b9a694418 (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - すんばらしいです。。お金払って読みたいレベルです。。素敵なお話ありがとうございました^ ^ (2018年11月12日 0時) (レス) id: e2ead3d137 (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - オニク。さん» 有り難いお言葉をありがとうございました!とても励みになりました。 (2018年4月30日 14時) (レス) id: f1c141d7d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かえで | 作成日時:2018年3月6日 17時