夏の終わりの（2009 years ）2 ページ47
近所の公園まで来た私達は、早速てつやが持参して来た色々な種類の入った花火の袋を開けて準備を始める。
公園にはさすがにこんな時間に人は誰もいなくて、しーんと静まり返っていた。
そこに響いているのは私達の声と、ガサガサゴソゴソと花火を準備してる音だけ。
「誰もいねえな」
「そりゃそうでしょ、今何時だと思ってんの？」
真顔でてつやがそんなこと言うから可笑しくてつい笑ってしまった。
「え、最初から打ち上げ花火やるの？」
「当たり前だろ、何言ってんだお前」
「それは大トリじゃん！」
「はぁ？普通打ち上げやって手持ち花火やってって順番だろうが！」
「違うよ、先に手持ちからでしょ？で最期ハデにしめるんだよ」
はたから見ればどうでもいいだろうやり取りをしながら、季節はずれの二人だけの花火大会は過ぎて行く。
てつやと二人、きゃーきゃー言ってはしゃぎながらやる花火はとってもとっても楽しかった。
たまに花火をやる上で奴がモットーにしているらしい事を切々と話されたりして。
一つ、また一つ、少しずつだけれどでも確実に花火の数は減っていき。
そして、最後に残ったのはやっぱり線香花火。
「じゃ、火点けるぞ」
てつやが私の手に持つ線香花火に火を点けてくれる。
次に自分の持つ分にも火をやって、二人静かにその可愛らしい光をただ見続けた。
ちらっと線香花火に視線を送り続けるてつやの横顔を盗み見る。
これからもてつやと二人でこうしていたいなって思った。
その光に照らされたてつやをずっと見ていたいって誰ともなしに強く願っていた。
静かに静かに、夏が通り過ぎて行く。
なんだかとても寂しくなる。
またこうして来年も再来年も、てつやと季節はずれの花火をしたいなぁって本当に心からそう思っていた。
「なぁ、A」
てつやに突然名を呼ばれる。
「なに？」
「来年もまた花火やろうな！」
あぁ同じこと考えていたんだなって嬉しくて嬉しくて。
「うん！」
私は元気な声で返事していた、そしたらすっげいい返事だなって笑われた。
てつやと二人、こうして過ごした夏の終わり。
来年もまたこの季節が訪れたら、同じ時間に笑顔と花火を連れて私を迎えに来てね。
end.
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かえで(プロフ) - 七海さん» ありがとうございます。ついざわくん絡みの話を書きたくなってしまいますw更新頑張ります！ (2018年4月25日 15時) (
レス) id: f1c141d7d3 (このIDを非表示/違反報告)
七海(プロフ) - ざわくんを想うヒロインの気持ちがいつも繊細でとても感情移入して読んでます。これからも更新楽しみにしてます。 (2018年4月24日 17時) (レス) id: ff325b6cef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かえで
| 作成日時：2018年2月21日 12時
