夜道 2 ページ35
「ぜーぜー、結構走って来たぞ」
一心不乱に走ってきて何とか見つけた街灯の下で、私は足を止めて息を整える。
そぉっと振り返ればどこにも人の気配はなし。
良かった、逃げられた…という安心感でホッと胸を撫で下ろす。
よし、てつやの家まではあと少しだし。
さっさと帰ろう！と思って歩き出そうとしたその時。
「っ⁈」
いきなり肩を誰かに掴まれた！
「い、い、いやぁ〜！ふがっ⁈」
大声を出そうと思ったら突然大きな手で口を塞がれる。
…終わった。
あともう少しだったのに、あぁなんで私はこんなところで足を止めたんだろう。
バカだ、バカすぎる…
てつやの家まで頑張って走れば良かったのにっ！
お父さん、お母さん。
今まで育ててくれてありがとう、先立つ娘をお許し下さい。
てつや、ごめんね…
なんて、心で父と母とそれからてつやに別れを告げた時。
「A！俺だ、俺！」
この声は…
聞き覚えのあるその声に恐る恐る振り返ると、そこにいたのはまぁよく知った人物だった。
「……てつや？」
塞がれた口を覆っていた手が外された。
笑うのを堪えてるらしく、てつやの肩が揺れている。
「なんだよお前、俺のこと痴漢とでも思ったか？」
そう言って辛抱出来ずに笑い出す。
私は安堵感で思わずその場にへたり込んでしまった。
「おい、A⁈」
慌てててつやもしゃがみ込んで私の顔を心配そうに覗き込んでくる。
「悪かった、大丈夫か？」
私は半ベソになりながらてつやを睨みつけた。
「大丈夫なわけないでしょっ！ひどいよっ！私が、私がどんだけ怖い思いしたと思ってんの‼」
「だから悪かったって…」
「あ謝って済む問題じゃないよっ！」
「分かった、じゃあ身体で償うわ」
「…結構です」
「大体お前が帰り遅いからこっちは心配して迎えに来てやったんだぞ？電話しても出ねーし」
「それは、すみません…」
「とにかく、ほらA立てよ。帰るぞ」
そう言っててつやは立ち上がったんだけれど、私は…
「…腰が抜けて立てない」
「はぁ？」
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かえで(プロフ) - 七海さん» ありがとうございます。ついざわくん絡みの話を書きたくなってしまいますw更新頑張ります！ (2018年4月25日 15時) (
レス) id: f1c141d7d3 (このIDを非表示/違反報告)
七海(プロフ) - ざわくんを想うヒロインの気持ちがいつも繊細でとても感情移入して読んでます。これからも更新楽しみにしてます。 (2018年4月24日 17時) (レス) id: ff325b6cef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かえで
| 作成日時：2018年2月21日 12時
