舞い踊れ ページ8
3分ちょっとの曲があっという間に感じた。
曲終わり最後の決めポーズでフィニッシュを迎えた時、呆然としながらも無意識に賞賛の拍手を送っていた。
とにかくダンスのクォリティが異常に高い。
しかもメンバーが9人もいるというのに全員の動きが寸分の狂いなく揃ってる。
…で、これをりょうくんと私というダンス下手二大巨頭が踊るって本気無理ゲーじゃね？
踊り終わって数秒後、岩本さんが笑顔でこちらを向いた。
「どうでした？」
「いや、もう本当にすごかったです。ありがとうございました」
「感じ掴めましたか？踊れそうです？」
「踊れるかと聞かれたらはっきり言って無理なんじゃないかと…」
「A、やってもいない内からそういうこと言うのダメじゃね？」
「よくそんなことしれっとさも自分は踊れるし？みたいに言えるね？ちょっとびっくりだわ」
「まぁまぁ、でもブラザービートはコミカルな動きが多いしSnowManの曲の中でも割と難易度はそこまでじゃないと思うのでとりあえず踊ってみましょう」
難易度高くない？アレで？
そりゃ岩本さん的にはそうかもしれないけど、我々のようなど素人からしたらMAXムズイのであります！
私は体育座りしながら顔を下に向け、心の声を小さくぶつぶつ呪文の様に唱えた。
「無理、無理、無理、出来ない、出来ない、出来ない…」
「おーいA、心の声ダダ漏れてっぞ！もう企画は始まってんだから観念して舞い踊れ、さぁ！」
「さぁ！じゃないっ…もぉ、そっかぁやらないとダメかぁ、そっかぁ…」
「ゆっくり覚えてったらいいじゃん、なんとかなるって」
「2週間しかないのにゆっくりできるかー！」
やるしかないのは分かっている。
だけどやる気とセンスが比例しないから悩んでんだ！
って心でそっと叫んだ時、向井さんが笑顔でグッドポーズをこちらに向けながらこう言った…
「まーかせてください！この向井康二、Aさんを手取り足取り全力で教えますんで安心して頼ってください！」
「…手取り足取り？」
「良かったな、A。向井くんもあー言ってくれてることだし、ここはネタの為多いに俺達を笑わせてくれ」
「いや、お笑いやりにきたんじゃないよっ」
さぁ、いよいよダンスレッスンがスタートする…
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作者名：かえで
| 作成日時：2024年1月7日 11時
