聖地巡礼 ページ23
突然の向井さん岡崎訪問の翌日の朝、りょうくん宅へ迎えに行って二人で車に乗り込む。
「昨夜はどうでした？何か失礼とかなかったです？」
「全然、めちゃめちゃ楽しかったです」
「それなら良かったですけど…えっと、ではまずどこに行きますか？」
「ほな岡崎城からお願いします」
「なるほど、了解しました」
一先ず私達は向井さんのご要望通り岡崎城を目指すことにした。
この日、改めて驚いたことは向井さんが本当に東海の動画をちゃんと見ていてくれていたということ。
行きたいと言った場所はどこも撮影に使った、動画では馴染みのある場所ばかり。
時間の関係もあるのでかなり凝縮した聖地巡礼とはなったけれど、向井さんがどうしてもここだけは行ってみたいと言った場所が最終地点となった。
「うわぁー、すげぇ！動画で見たほんもんの場所やぁ」
「どこへ行っても向井さん感動してくれるから本当、案内するのが楽しいです」
「いやいや、俺こそめっちゃ楽しいです。ありがとうございます！」
その場所とは泥酔状態でドラマ撮影をした伊賀川の河川敷。
向井さんはこのドラマをいたく気に入ってくれているそうだ。
「あの中でAさん、めっちゃ酒飲んで皆ベロっベロになってんのに一人だけ冷静やったでしょ？あれがまためちゃめちゃおもろかったんですよ」
「そうですか？周りがあれだけ酔っ払うと逆に酔いが覚めてきちゃって。本当はあそこで一緒になってベロベロにならなきゃいけなかったと思うんですけど。後でメンバーから空気読め！って怒られました」
「ほんまAさん、酒強いですよね」
そう笑いながら向井さんは何の変哲もない河原にカメラを向けてシャッターを切っていた。
今日は観光するにはちょうど晴れて、気候もいい感じ。
たまに吹く風が少し冷たいけれど、それもなんだか心地よくて私は大きく息を吸い込み空を仰いだ。
するとこちらに向かってシャッター音がした気がしてふと向井さんを見る。
「お、めっちゃええ写真撮れました！」
「ちょっと、盗撮はやめてください。向井さん？」
「えっ、すみませんでした…」
そんな会話のあと、二人の笑い声が河川敷に響き渡った。
向井さん同様、私も楽しんでしまってる。
いつもと変わらない街並みなのに、それはきっと向井さんと一緒だからなんだろうってどこかで認めてしまっていた。
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作者名：かえで
| 作成日時：2024年1月7日 11時
