何度も ページ46
動画の撮影を終えて、そらは帰宅。
みっくんは今シャワーを浴びている。
その間、洗濯物を片付けていた私は一度手を止めた。
大切なことを一つも思い出すことができない、なのにいつでもみっくんは優しくしてくれる。
思い出せなくてもこれだけは分かる、この優しさが私は好きだったのだろうということは。
だから余計に申し訳なくて、このまま本当にみっくんの傍にいていいのかと悩み続けている。
ふうっと溜息をついたと同時に、みっくんが浴室から出てくる物音がした。
「A、どうしたの？」
「え？」
「なんだか疲れてるように見えたから。大丈夫？」
「うん」
私の目の前にしゃがみ込むみっくんが心配そうにしてる。
そんな姿にやっぱり申し訳なく思い、胸がチクチク痛んだ。
お風呂から上がったばかりのみっくんは、洗いざらしの髪の毛がさらに幼い印象に変わっていた。
よく見るとさっきまで撮影の為にマジックで繋げていた眉毛の跡が、まだ少しだけ残っていてつい吹き出してしまった。
クスクス笑いながら、私はみっくんの眉間に指を差す。
「ここ、まだ消えてないよ」
「え、うそ⁈」
「ほんと」
耐え切れず大笑いしてしまう私に釣られるようにみっくんも笑う。
だけど次の瞬間、一気に近づくみっくんの顔に私の笑いが治ると互いの唇が軽く触れ合った。
「ごめん、なんかAがかわいくて我慢できなかった」
すぐ離れてみっくんは少し俯き気味に小さく呟くように私に言った。
確かにびっくりはしたけど、でも全然嫌じゃなかった。
私は、この感覚を知ってる…
「私達、前にもキスしたことある？」
「…うん、あるよ」
「それ、以上のことも？」
「うん」
苦しいくらい胸がドキドキしていた。
いつも笑顔のみっくんは今、とても真剣な表情で私を見つめてる。
そっと伸びてきた手のひらが優しく頬を撫でて、私もみっくんから目が離せなくなった。
「何度もしたよ。何回Aに触れたか分からないくらい」
また重なり合った唇は、さっきよりも荒々しいほど深くて、だけど拒むことはできなかった。
それは一瞬だけ離れた時、みっくんが囁いた言葉の所為だったからかもしれない。
「愛してる」
もしもこの先、何も思い出せなかったらと思うとどうしようもなく不安になる。
そんな私をみっくんは、永遠に愛してくれるだろうか…
そしてそれから数日後のこと。
みっくんが大学へ行っている間買い物から帰って来た時、トウコと名乗る女の子と出会い私はある決意をする。
指輪と離婚届（side TSURIME）→←タライ落としがしたかった（side TSURIME）
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かえで(プロフ) - まりさん» 私には勿体ないくらいのお言葉を頂き本当に嬉しいです。最後までお付き合い頂きありがとうございました。 (2019年6月5日 17時) (
レス) id: 7b9a694418 (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - 好きです。この小説を読んでる時間とても充実してました！素敵な時間をありがとうございました！ (2019年6月5日 17時) (レス) id: 367abc2ae5 (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - こーひーまめさん» いつも読んで頂きありがとうございます！最後まで頑張りますのでぜひお付き合いください。 (2019年6月3日 17時) (レス) id: 7b9a694418 (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - えだまめさん» 有難いお言葉を本当にありがとうございます！あと少しで最終回を迎えます、最後まで頑張りますのでお付き合いください。 (2019年6月3日 17時) (レス) id: 7b9a694418 (このIDを非表示/違反報告)
こーひーまめ - いつも見てます！！続き楽しみに待ってます！更新頑張ってください！！！(o^^o) (2019年6月2日 23時) (レス) id: cfb9147a2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かえで
| 作成日時：2019年4月9日 12時
