タライ落としがしたかった(side TSURIME) ページ45
今日は動画撮影をすることになっている。
うちにやってきたそら、退院後のAと会うのは本日が初めてだ。
「えっと…俺のこと分かんないんだよね?」
「ごめんなさい」
「いや、いーよ!しょうがないもんな?」
困ったように悲し気に俯くAにそらは慌てて、すぐ俺に耳打ちしてきた。
「なぁ、なんかAすげぇかわいくなってねーか?少しムラっとくるんだけど」
「そらっ!Aには絶対手出すなよっ」
「そりゃ分かってるけどさぁ」
そうなんだ、最近のAはなんかこう…男の理性を狂わすようなフェロモンが出ているというか何というか…うまく表現できないんだけど。
だから俺だって毎日すっげぇ色々と我慢してるんだ。
そら如きにAを奪われてなるものか!
「で、今日はなにやるの?」
「タライ落としやろうと思って」
「はぁ?」
俺のアイデアにそらが奇妙な声を出す。
内容を説明して、早速タライ落下装置の作成に取り掛かった。
それを最初Aは不思議そうな面持ちで見学していたが、途中から手伝いもしてくれた。
そんなAにそらはやたらベタベタしていて、俺的には不愉快極まりなかった。
それから数時間後、準備が整ったところで撮影スタート。
「はい。ということで、今からね、タライ落としをやるんですけれど、ただやるだけじゃつまんないので、今からそらちぃくんにクイズを出してもらって正解すればこのタライは落ちてきません。しかしハズレてしまった場合、このタライは落ちてくるというワケです。それではそらちぃさん、クイズを出して下さい」
「僕が中学校の時に一番好きだった給食のメニューはなんでしょう」
「分かりました、ワカメご飯!」
これが不正解で頭に勢いよくタライが落下。
「いったーい!いたーいっ!」
Aはびっくりしたようで両手で口元を押さえながら固まってる。
続いて二問目。
「それではね、もう一回やろうと思います。こいっ!」
「パンはパンでも食べられないパンはなーんだ」
「コッペパン!」
またまた落下してくるタライ。
「いーたいっ、いたっっ‼」
頭を押さえて叫んだ時、思いきり吹き出す声が聞こえたから顔を上げるとそこには、顔をくしゃくしゃにして爆笑しているAがいた。
こんな姿を見るのは本当に久しぶりで、しかもすごくかわいかったからつい見惚れてしまった。
って、思ってたのは俺だけではなかった。
「かわいい…」
背後で呟くそらを俺は睨みつけてやった。
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かえで(プロフ) - まりさん» 私には勿体ないくらいのお言葉を頂き本当に嬉しいです。最後までお付き合い頂きありがとうございました。 (2019年6月5日 17時) (レス) id: 7b9a694418 (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - 好きです。この小説を読んでる時間とても充実してました!素敵な時間をありがとうございました! (2019年6月5日 17時) (レス) id: 367abc2ae5 (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - こーひーまめさん» いつも読んで頂きありがとうございます!最後まで頑張りますのでぜひお付き合いください。 (2019年6月3日 17時) (レス) id: 7b9a694418 (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - えだまめさん» 有難いお言葉を本当にありがとうございます!あと少しで最終回を迎えます、最後まで頑張りますのでお付き合いください。 (2019年6月3日 17時) (レス) id: 7b9a694418 (このIDを非表示/違反報告)
こーひーまめ - いつも見てます!!続き楽しみに待ってます!更新頑張ってください!!!(o^^o) (2019年6月2日 23時) (レス) id: cfb9147a2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かえで | 作成日時:2019年4月9日 12時