争い（side TSURIME） ページ40
「どうだった？」
「うん…」
どこまで話したらいいんだと、迷う俺を見てえいちゃんの表情が曇る。
「なに、結構深刻なの？」
「ううん、特に問題ないって」
「なんだよ、焦ったじゃん。みっくん浮かない顔してるから」
言わなくていいのかもしれない。
これから先ずっと、俺とAだけの秘密のままでいたら、その方が傷は浅くてすんだのかもしれない。
なのに俺は試すようなことをしてしまった。
えいちゃんがどんな顔するか、なんて言うのかって。
「A、妊娠してた」
「…それで？」
「ダメ、だったって」
そのまま俺からAへ視線を戻したえいちゃんは何もしゃべろうとしなかった。
その態度がやけに苛立つ。
「驚かないんだね、どうして？もしかして知ってたの？Aが妊娠してること」
「は？知らねーよ！ただ、こいつの様子見てたらそうじゃねーかとはちょっと思ってたけど」
「えいちゃんってAのことならなんでも分かるんだね。正直羨ましいよ」
「なぁ、さっきからみっくんおかしいよ？Aのこと一番分かってんのはみっくんでしょ？」
「じゃあなんでいつもAは俺よりえいちゃんに頼るの？」
「そんなことも分かんねーのかよっ、Aは俺よりみっくんのことが好きだからだよ‼」
えいちゃんが思いきり立ち上がった弾みで、椅子が乾いた音を立てながら倒れ足元に転がった。
俺を睨むように見つめてくるえいちゃんに少し怯む。
「変な言い掛かりつけてくる前に泣かせるようなことすんな！好きならちゃんと守ってやれよ！」
その言葉は俺の胸に深く突き刺さった。
ずっとずっと、小さな頃から大好きだったAと結婚できて、夢のようで、本当に幸せで嬉しくて。
だから絶対に守るんだって心から誓ったんだ。
それなのに口ばかりで実際は、守るどころか傷つけることしかしていない。
なにやってんだよ、ほんとに俺…
自分が心底情けなくて、えいちゃんになにも言い返せなかった。
唇を噛み締め黙り込み俯く俺の耳に、えいちゃんが小さく溜息をつくのが聞こえたそのあと。
「…ん」
「A⁈気がついたか？」
えいちゃんの声で顔を上げると、Aが意識を取り戻していた。
その表情はまだどこかぼんやりとしている。
「Aっ、大丈夫⁈」
慌てて近づいて顔を覗き込むと、暫くじっと俺を見つめてから耳を疑うようなことをAは呟いた。
「…誰？」
「……え」
呼吸の仕方が分からなくなるくらいの衝撃だった。
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かえで(プロフ) - まりさん» 私には勿体ないくらいのお言葉を頂き本当に嬉しいです。最後までお付き合い頂きありがとうございました。 (2019年6月5日 17時) (
レス) id: 7b9a694418 (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - 好きです。この小説を読んでる時間とても充実してました！素敵な時間をありがとうございました！ (2019年6月5日 17時) (レス) id: 367abc2ae5 (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - こーひーまめさん» いつも読んで頂きありがとうございます！最後まで頑張りますのでぜひお付き合いください。 (2019年6月3日 17時) (レス) id: 7b9a694418 (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - えだまめさん» 有難いお言葉を本当にありがとうございます！あと少しで最終回を迎えます、最後まで頑張りますのでお付き合いください。 (2019年6月3日 17時) (レス) id: 7b9a694418 (このIDを非表示/違反報告)
こーひーまめ - いつも見てます！！続き楽しみに待ってます！更新頑張ってください！！！(o^^o) (2019年6月2日 23時) (レス) id: cfb9147a2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かえで
| 作成日時：2019年4月9日 12時
