気づけなかった（side TSURIME） ページ39
えいちゃんからの話だと、Aが横断歩道を渡ろうとしたところ、信号無視の車と接触してしまったらしい。
幸いにも車がAを寸前で回避して、まともにぶつかることはなかったけれど、その弾みで突き飛ばされるように転倒したようだった。
「まぁなんとか軽傷で済んだけど、まだ意識が戻んねーんだよ。それで今は検査に回ってる」
「…そうか」
ひとまずは命に別状がないと分かり、良かったと心から安堵した。
でもそれは束の間のことでしかなかった。
「あのさ、みっくん。Aとなにかあった？」
「え、どうして？」
「あの時A、泣きそうな顔してたから」
「ねぇ、えいちゃん」
「なに？」
「二人はさ、最初から会う予定だったの？」
「は？なんだよそれ、たまたま偶然会っただけだよ。なに言ってんの、みっくん」
気に入らなかった、何もかも。
えいちゃんがAを心配していることも、偶然出会えることすらも。
そしてAの危機に、一番最初に傍にいたのがえいちゃんだったことも。
そのまま俺達の会話が途切れた時。
「あの…」
一人の看護士が声を掛けてきた。
どうやらAの検査が一通り終わったみたいで、病室へ入ったとのことだった。
すぐAの傍へ駆け付けたかったが、その前に医師から話がある為、俺は一人診察室へと通された。
そこで自分がAの夫であることを伝えると、えらい若い夫婦なんだねとその医師は驚いていた。
「奥さんの容態なんですが」
「はい」
「少しかすり傷はありますが、他は特に問題ないですね」
「そうですか、ありがとうございました」
医師からの説明に今度こそ一息ついた、けれど次に続く言葉に頭を強く殴られたみたいに衝撃が走った。
「ただ非常に残念なのですが、お腹のお子さんは助けることができませんでした」
「は…え、どういうことですか…？」
「え、あの、奥さん妊娠してたのはご存知なかったですか？」
目の前が真っ暗になった。
そういえば確かに最近体調が悪そうだったけれど、まさかそれが原因だったなんて。
どうしてもっと早く気がついてあげられなかったんだろう。
そしてそれを、Aにどう話せばいいんだ…
重い足取りで俺はAの待つ病室へ向かった。
中へ入るとまだ眠ってるAの傍には、えいちゃんが椅子に座りじっと見守り続けている。
その光景を見てまた胸がぎゅっと痛くなった。
俺が入って来たことに気づいたえいちゃんがこちらへ振り返る。
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かえで(プロフ) - まりさん» 私には勿体ないくらいのお言葉を頂き本当に嬉しいです。最後までお付き合い頂きありがとうございました。 (2019年6月5日 17時) (
レス) id: 7b9a694418 (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - 好きです。この小説を読んでる時間とても充実してました！素敵な時間をありがとうございました！ (2019年6月5日 17時) (レス) id: 367abc2ae5 (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - こーひーまめさん» いつも読んで頂きありがとうございます！最後まで頑張りますのでぜひお付き合いください。 (2019年6月3日 17時) (レス) id: 7b9a694418 (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - えだまめさん» 有難いお言葉を本当にありがとうございます！あと少しで最終回を迎えます、最後まで頑張りますのでお付き合いください。 (2019年6月3日 17時) (レス) id: 7b9a694418 (このIDを非表示/違反報告)
こーひーまめ - いつも見てます！！続き楽しみに待ってます！更新頑張ってください！！！(o^^o) (2019年6月2日 23時) (レス) id: cfb9147a2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かえで
| 作成日時：2019年4月9日 12時
