偶然 ページ31
あれからはまた平穏な日々が戻ってきた。
トウコちゃんのことはすっかりなかったかのように、前と変わらない関係でいられて安心していた。
今日のお夕飯は外食することになったので、大学が終わると真っ直ぐ待ち合わせしていたレストランへと向かった。
お店に入り辺りを見回すと、みっくんが私に気づいて手を振ってくれる。
「ごめん、おまたせ」
「ううん、全然大丈夫だよ」
みっくんと向かい合わせで席に付く。
そういえばこんな風に外で落ち合うのは初めてかもしれない。
「ふふ…」
「え、どうしたの？」
「こういうの恋人同士みたいでなんか新鮮だなぁって思って」
「そうか、そうだね。たまにはこうして待ち合わせしてみるのもいいね」
「うん」
そうなんだよね。
私達は付き合うっていうのを飛び越えて結婚って形を取ったから、付き合っている二人が普通にするようなことってしたことがなかった。
だからそれが嬉しくて楽しくて、つい心が弾む。
それから注文を終えると、何かに気づいたようにみっくんが私をじっと見つめてきた。
「あれ、なんかAちょっと顔色悪くない？」
「そうかな…そういえば最近なかなか疲れが取れないんだよね。歳かな？」
「全然まだ若いじゃん。あまり無理しないで？」
「うん。できたらゆっくりしたいんだけどね、学校ちょっと忙しくて」
「落ち着いたら泊まり掛けでどこか行きたいね。ほら、まだ新婚旅行も行ってないでしょ？」
「あ、いいねそれ。行きたい！」
「どこか行ってみたい場所とかある？」
「えっと、そうだなぁ…」
みっくんと初めての旅行に想いを馳せてみたらさらに浮かれた気分になったけれど、それは次の瞬間一気に吹き飛んでしまった。
「あれ、A？」
「え、トウコちゃん…」
「すごい偶然だねぇ、なんか似てるなぁとは思ってたんだけど本当にAでびっくりした」
なんで、どうしてここにトウコちゃんがいるの？
突然の信じられない状況に目が眩んだ。
これって本当に偶然なのかな、それとも裏があったりする？
胸に押し寄せる不安や恐怖といった色んな感情に、多分私の表情は正直なまでに少し引きつってしまっていたのではないかと思う。
「私、友達まだなんだよね。暫く一緒にいてもいい？」
トウコちゃんのいつも通りの屈託ない微笑みからは、何を考えているのかは全く読み取れない。
ただ、どうしようもなく胸騒ぎがした。
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かえで(プロフ) - まりさん» 私には勿体ないくらいのお言葉を頂き本当に嬉しいです。最後までお付き合い頂きありがとうございました。 (2019年6月5日 17時) (
レス) id: 7b9a694418 (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - 好きです。この小説を読んでる時間とても充実してました！素敵な時間をありがとうございました！ (2019年6月5日 17時) (レス) id: 367abc2ae5 (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - こーひーまめさん» いつも読んで頂きありがとうございます！最後まで頑張りますのでぜひお付き合いください。 (2019年6月3日 17時) (レス) id: 7b9a694418 (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - えだまめさん» 有難いお言葉を本当にありがとうございます！あと少しで最終回を迎えます、最後まで頑張りますのでお付き合いください。 (2019年6月3日 17時) (レス) id: 7b9a694418 (このIDを非表示/違反報告)
こーひーまめ - いつも見てます！！続き楽しみに待ってます！更新頑張ってください！！！(o^^o) (2019年6月2日 23時) (レス) id: cfb9147a2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かえで
| 作成日時：2019年4月9日 12時
