ふたりの温度 ページ20
繋ぎ合った手と手を見つめ、そこから伝わってくるみっくんの体温に我慢できず涙が溢れ出す。
「なんだか苦しい。結婚していること、言えないの」
「…ごめん」
「私も、ごめん。こんなこと言ったらダメだよね…」
こんな、みっくんをただ困らせるようなこと。
だけど泣きながらずっと心にしまってきた思いを止められなかった。
その時私の手を握り締めるみっくんの力が、さっきよりもまた強くなった。
「友達とご飯中だったのに無理矢理連れて来ちゃってごめんね。大丈夫？」
「うん、後でちゃんと説明しとく。それに、なんかもうそんな気分じゃなかったし」
「え、どうして」
「すごい嫉妬してたから、あの子に」
もう一度みっくんに謝ったら、俺の方こそごめんと逆に謝られて。
さっきから二人、ごめんねを繰り返してるのが可笑しくて、でも互いを想う気持ちが溢れてるそんなやり取りに少し安らいだ。
そのまま真っ直ぐ家へと帰って来て、みっくんが玄関の扉を開けて二人、中へ入ったのと同時に私は強く抱きしめられていた。
「みっくん…？」
突然のことに驚きながら名を呼ぶ私の唇をみっくんはすぐさま塞ぐ。
そして私達は長い間、深い口付けを交し合っていた。
何度も、何度も…
それは二人、初めて知った大人のキス。
「これだけは本当だよ。俺が好きなのはAだけだし、俺の奥さんはAしかいない」
やっと顔が離れて、だけどまだ至近距離にいるみっくんが私の頬を掌で優しく包む。
「Aが俺以外の男に触れられてるの見て、めちゃくちゃ嫉妬した」
「え、みっくんも？」
「ダメだよ、気安く触らせたら。Aは俺のなんだから」
再び、みっくんが私に熱く口付ける。
みっくんの想いが唇から伝わってくるような、そんな気がした。
みっくんも私と同じ気持ちでいてくれてるんだよね？
そうだよね…？
「ごめんA、俺もう我慢出来ないかも」
一旦、唇を離しみっくんが呟いた。
私も、もう覚悟は出来ている。
それに頷いたら私のことをみっくんは軽々と抱き上げて、今度は軽く触れるだけのキスをした。
そのあとで真面目な顔をして告げられた台詞に、みっくんの首に腕を回すと私は強く抱きつく。
「優しくするから」
「うん」
朝まで抱き合って求め合って、それで体温が溶け合って、二人、同じ温度になればいい。
そうなりたい、心も身体も。
ねぇ教えて、私のことを想うみっくんの温度…
今は、その心と身体で。
私達はこの日、初めて結ばれた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 276人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かえで(プロフ) - まりさん» 私には勿体ないくらいのお言葉を頂き本当に嬉しいです。最後までお付き合い頂きありがとうございました。 (2019年6月5日 17時) (
レス) id: 7b9a694418 (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - 好きです。この小説を読んでる時間とても充実してました！素敵な時間をありがとうございました！ (2019年6月5日 17時) (レス) id: 367abc2ae5 (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - こーひーまめさん» いつも読んで頂きありがとうございます！最後まで頑張りますのでぜひお付き合いください。 (2019年6月3日 17時) (レス) id: 7b9a694418 (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - えだまめさん» 有難いお言葉を本当にありがとうございます！あと少しで最終回を迎えます、最後まで頑張りますのでお付き合いください。 (2019年6月3日 17時) (レス) id: 7b9a694418 (このIDを非表示/違反報告)
こーひーまめ - いつも見てます！！続き楽しみに待ってます！更新頑張ってください！！！(o^^o) (2019年6月2日 23時) (レス) id: cfb9147a2d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かえで
| 作成日時：2019年4月9日 12時
