First Kiss(side TSURIME) ページ12
「アバンティーズはこれから絶対人気が出る。そうなった時、もしツリメくんが結婚していることが分かったら、色んなところに影響が出てくるんだよ。それだけじゃない、その、奥さんは何をしてる人なの?」
「えっと、学生です」
「そうすると、余計に周りに知られたら面倒なことになるかもしれないよ?有る事無い事言われて、下手すると学生生活もままならなくなる可能性だってある」
「…はい」
考えてもみなかった。
俺のせいでAが傷つくかもしれないなんてこと。
それだけはどうしても避けなければならなかった。
「分かりました、そう伝えます」
「いいの、みっくん?」
「仕方ないよ。それにみんなにも迷惑掛かるかもしれないし」
「いや、俺達は全然いいんだけど…なぁ?」
「あぁ」
「うん」
俺にとってAとの結婚は、極々当たり前のことで。
それで周りに与える影響なんてこれっぽっちも考えていなかった。
小さい頃から好きだったAと、ただずっと一緒にいたい。
生きていきたいって思っただけなのに、そんなことあるかよ。
俺の様子に何か感じ取ったみたいで、えいちゃんがこっちを覗き込んできた。
「大丈夫?みっくん」
「うん…」
ただ、Aになんて言えばいいんだって考えると気が重くなった。
その週末、Aがアパートへ来た時に渋々だが話を切り出すことにした。
マネージャーから言われたことを説明すると、Aは真剣な表情で聞いていた。
なんだか自分のせいでこんなことになってしまって、ずっと胸がズキズキ痛んだ。
「ごめん、A」
「どうしてみっくんが謝るの?私なら大丈夫、みっくんに迷惑掛けないようにするから安心して?」
「そんな風に考えなくていいんだよ!」
こんなことを言わせてしまった自分に腹が立つ。
思わず目の前に座るAのことを強く抱きしめていた。
細く小さい身体が俺の腕に丁度良く収まる。
こうしてみて強く思った。
「Aのことは絶対、何があっても俺が守るから」
「うん、私も。みっくんのこと必ず守るよ」
抱いていた腕を緩め互いに見つめ合った時、自然とAの唇に自身のを重ねていた。
そっと触れただけですぐに離れたけれど、間違いなくこれが。
二人の、初めてのキスだった。
「好きだよ、A」
「私も。みっくんが好き」
どんなことがあったとしても、この気持ちだけは揺るがない確かなものだ。
だから絶対大丈夫だって思っていた。
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かえで(プロフ) - まりさん» 私には勿体ないくらいのお言葉を頂き本当に嬉しいです。最後までお付き合い頂きありがとうございました。 (2019年6月5日 17時) (レス) id: 7b9a694418 (このIDを非表示/違反報告)
まり(プロフ) - 好きです。この小説を読んでる時間とても充実してました!素敵な時間をありがとうございました! (2019年6月5日 17時) (レス) id: 367abc2ae5 (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - こーひーまめさん» いつも読んで頂きありがとうございます!最後まで頑張りますのでぜひお付き合いください。 (2019年6月3日 17時) (レス) id: 7b9a694418 (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - えだまめさん» 有難いお言葉を本当にありがとうございます!あと少しで最終回を迎えます、最後まで頑張りますのでお付き合いください。 (2019年6月3日 17時) (レス) id: 7b9a694418 (このIDを非表示/違反報告)
こーひーまめ - いつも見てます!!続き楽しみに待ってます!更新頑張ってください!!!(o^^o) (2019年6月2日 23時) (レス) id: cfb9147a2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かえで | 作成日時:2019年4月9日 12時