58. ありがとう ページ8
今日は夕飯に『生姜焼き』を作りました。
久しぶりに虫さんが手伝ってくれて、てつやと私三人でテーブルを囲み楽しくご飯、と思っていたのですが…
「てつや？」
「…」
「ちょっとてつや！」
「え、な、なんだよ」
「ご飯めちゃめちゃこぼしてるんだけど」
「え？…あ」
気づけばてつやの周りご飯だらけ。
なんだかぼーっとしながら口に運んではその度ボロボロこぼしまくってるのを見て、思わず虫さんと顔を見合わせてしまった。
子供だってもうちょっときれいに食べられると思うんだけど。
「はい、ティッシュで拭いちゃって」
私がティッシュの箱を差し出したら、てつやがそれを取ろうと上げた手が、今度は近くに置いてあったコップにあたって見事水をひっくり返す。
「うわ！」
「ちょっとなにしてんの！」
慌てて三人でテーブルの上やフローリングに溢れた水を拭き取る。
昼間りょうくんと話し込んでからてつやの様子がおかしい。
どうしてしまったというのだろう。
「俺、部屋戻る」
「え、ご飯は？」
「もういい」
「いいってほとんど食べてないじゃんって、てつや⁉」
私がしゃべっているのもお構いなしに、てつやはさっさとリビングから出て行ってしまった。
「どうしたの、てつや」
「さぁ…」
原因がまったく分からない私が首を傾げると、突然虫さんから言われた。
「そういえば旅行楽しかった？」
ん、今なんとおっしゃいました？
私は思わず勢いよく虫さんに顔を向けていた。
「な、なんで知ってるの…？」
「てつやに、Aと温泉旅行に行って来る。うらやましいだろ、ざまーみろ！って言われた」
「…はぁ？なに、それ」
あきれて物も言えない。
てつや、虫さんになに言ってんの？
「まぁそうだね、正直うらやましいよ」
「ん、どういうこと？」
私の問いに虫さんは答えてはくれなかった。
なにがうらやましいんだろ、温泉行きたいのかな？
少し自分なりに答えを探った。
あ、それより…
「虫さんには感謝してるんだ」
「え、いきなりどうしたの？」
私はふふっと笑う。
「こうやってちゃんと前に進めたのは虫さんのおかげだから」
虫さんは黙って私の話を聞いてくれる。
「虫さんを本気で好きになって、私本当に変われた。それまでもうクソみたいな男とばっかり付き合ってきてたから恋愛に対してすごいドライになっちゃってて。でも虫さんに出会えて、こういう真摯で素敵な人もいるんだって気づけた。こんな私でもまともな恋ができた…本当にありがとう」
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かえで(プロフ) - みことさん» 有難いお言葉を頂き本当に光栄です。今後の執筆にとてもやる気がでました！これからの作品もぜひぜひお付き合い下さい。 (2018年2月18日 10時) (
レス) id: f1c141d7d3 (このIDを非表示/違反報告)
みこと(プロフ) - こんにちは！完結おめでとうございます！てつやさんオチの作品の中で1番大好きな作品です！これからもかえでさんの作品、楽しみにしてます！(≧ω≦) (2018年2月17日 21時) (レス) id: e05cb40cc5 (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - ゆうきさん» とても励みになるコメントをありがとうございます。2人の子供の話も書いてみようかなと意欲が出ましたw今後も続編考えていきたいと思います。またお付き合いくださいね！ (2018年2月13日 18時) (レス) id: f1c141d7d3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - こんにちは。コメント失礼致します。かえでさんの小説毎日の楽しみとして読んでいました！今回の番外編の更新もめちゃくちゃ嬉しかったです！！！子供生まれたあとのお話も読んでみたいです…(´；ω；｀) (2018年2月13日 15時) (レス) id: bd844e0957 (このIDを非表示/違反報告)
zawa-mina(プロフ) - かえでさん» はい！もちろんです！頑張ってください！ (2018年2月9日 19時) (レス) id: 2d47d3844b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かえで
| 作成日時：2018年1月24日 11時
