エイリアンズ Vol.2【東海オンエア】

94. 平常運転 ページ44

その日の夜には動画とSNSで入籍の報告をした。
色んなコメントが飛び交っていたけど、あのプロポーズ動画本当だったんだっていうのが多くてウケてしまった。
そうだよね、された本人が信じられなかったくらいだもんね。


そんなこんなでなんとか少しずつ、日常生活が落ち着きを見せ始めたある日のこと。

「ぶわ〜ぁ、あーねむ…」

撮影前、リビングのイスに座っていた私は大きなあくびをした後テーブルに突っ伏した。
最近やたらとだるくて眠くてしょうがない。

「眠そうだなぁ、A。寝不足か？」

そんな私を見て声を掛けてきたのはりょうくん。
涙目のままぼーっとりょうくんに顔を向ける。

「いちをちゃんと寝てるんだけどね…」
「どうせてつやが夜寝かせてくれないんじゃねーの？」

しばゆーがそう言ってニヤニヤしてる。
それに対しててつやが訳の分からない反論をした。

「バカ言うな、昨日はやってねー。やったのはおとといだ！」
「バカはお前だ！余計なこと言うなっ」

あ、やばい…
怒鳴ったらなんだか頭がクラクラした。

「少し顔色も良くないね、アパートも引き払ったりで最近バタバタしてたから疲れてるんじゃないの？」

虫さんも心配そうな顔をして私を覗き込む。
それに笑って私は答えた。

「大丈夫大丈夫。ほらてつやの相手が大変なだけだからさ、心配しないで」
「やはり夜の相手は大変なのか…A、お疲れっす！」
「だからそういう意味じゃないっ！」

あーもうやだ…
これは目覚まし代わりにお茶でももう一杯飲むかとその場に立ち上がった時だった。
急激に立っていられないほどの目眩に襲われる。
血の気が引いて、目の前が一瞬で真っ暗になった。

「どうしたA、っておい！」

隣に座っていたりょうくんが咄嗟に崩れる私の体を受け止めてくれたところで意識を失った。

「Aっ⁉」

遠くの方でてつやが私の名前を呼ぶ声が微かに聞こえた気がする。


なんだかふわふわして気持ちいいなぁ。

ずーっとこのままでいられたらいいのに…

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