エイリアンズ Vol.2【東海オンエア】

92. 牽制 side TETSUYA ページ42

真っ赤な顔をして心にもないそんなことを言うAが愛おしくてしょうがない。
なんだよ、俺こんなにこいつのこと好きだったのか…
手を伸ばしてそっとAの髪に触れるとぐしゃぐしゃって少しだけ乱暴に頭を撫でる。

「ちょ、何するのよっ」
「お前はもう少し休んでろ、あいつらにはうまいこと言っといてやるから」
「…ほんとに？」
「おいおい、なんだよ。その疑ってるような目は」
「絶対変なこと言わないでよ」
「なんだよ、例えばどんなことをだ」
「っ、もういい！とにかく変なこと言わないでっ」

そのままAは頭から布団を被ってしまった。
まったく、すぐ怒るんだよなぁAは。
俺はフローリングに散らばった服をひとつずつ拾って身につけていく。

「ゆっくり休んでろ」

身支度を整えて、布団を被ったままのAに声を掛けると部屋を出てリビングに向かった。

そんなワケでAがいないから自分でお茶なんか淹れることにする。
最近はほとんどキッチンのことはあいつがやってるからなんとなくおかしな気分だった。
自分で入れたお茶の味は何かが足りないような気がした。
Aが淹れてくれる方が何倍もうまいんだよなぁ…

「え、嘘でしょ。なんでてつやがこの時間から起きてんの？」

物思いにふけりながらお茶を啜っていたら、虫がリビングに入ってきた。

「Aちゃんどうしたの」
「んー？まだ寝てる」
「珍しいな…」
「おはよ…って、え、なんでてつや起きてんの？」

続いてりょうがリビングに入ってくる。

「Aは？」
「だからまだ寝てるつーの」
「なんだ珍しいな。あ、さてはてつや…」
「おう、朝からがっつりやってやった」
「最低だな」
「男としてというよりも人として失格だな」
「うるせぇな、なんとでも言え」

それぞれが思い思いの場所に腰を下ろす。
俺とりょうはテーブルのイスに、虫はソファーに。

「日曜に親のとこ行って来るわ、それ終わったらすぐ籍入れちまうから」
「お、いよいよ親に挨拶か？」
「ヘマするなよ、てつや」
「するかよ、そもそもAの親とは慣れ親しんだ仲だぞ」
「どうだろうね、なんせてつやだからな」
「あのさ、なんでそんなに急ぐ必要あるの？」
「なにがだよ」
「入籍だよ、もうAの気持ちは固まってんだろ。ここまで急がなくてもいいと思うけどね」
「お前らへの牽制だよ」
「はぁ？何言ってんだよ…」
「僕達に牽制ってどういう意味だよ」
「そのままの意味なんだが？」

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