エイリアンズ Vol.2【東海オンエア】

86. 前とは違う朝の風景 ページ36

そして、今日もいつもと変わらない朝がやってくる。
他の人にしてみれば普通ではないのかもしれないけれど私にとっては当たり前で、極々平凡な１日がまた始まろうとしていた。
だけど前までとは確実に変わったことがある。

今日もまたいつも通りキッチンに立ち朝ご飯を作っていた。

「おはよう、 A」
「あ、おはようりょうくん。今日はご飯食べる？」
「そうだね、今日は食べようかな」
「分かった、先にお茶いれるから待って」
「うん、ありがとう」

お茶の準備を始めているとまた玄関から人が入ってくる音がした。
誰が来たかは歩き方で分かる。

「おはよう」
「おはよう」
「おはよう虫さん、朝ご飯どうする？」
「うん、食べる」
「分かった、待ってて」

今日のメニューは目玉焼きにカリカリベーコン、サラダとふわふわ卵のスープ、それから主食はご飯にした。

「おまたせー」
「それじゃあ、いただきます」
「いただきます」
「どうぞ、どうぞ」
「てつやはまだ寝てるの？」
「起きてるよ、今シャワー浴びてる」
「へぇ、珍しいな。完徹でもしたの？」
「え、う、ううん、昨夜は早く寝ちゃって編集出来なかったから朝起きてやったんだよ、それで」
「昨夜は？」
「早く寝た？」

二人が意味あり気な表情をして私をじっと見ている。
なんだか勘ぐられている気がすることと、そのせいで昨夜のことを思い出した私は思わず赤面してしまった。

「は〜なるほど、そういうことね」
「色んな意味でごちそうさまだね」
「え、なになに、どういうこと？」

そんなやり取りをしていたら、シャワーから出てきたてつやが首にタオルを掛けたままリビングへやってきた。
タイミングいいんだか悪いんだか…

「よぉ、てつや。昨夜は早く寝ちゃったんだって？」
「で、早く寝るのは構わないけど編集はちゃんと終わらせたんだろうな？」
「なんだなんだいきなり…さっき終わらせたよ、なんか文句あんのか？」
「それならいいんだ」
「それで、どうして早く寝たんだよ。具合いでも悪かったのか？」

りょうくんがいつものスマイルで畳み掛けてくる。
だけどてつやはしれっとした感じのまま一言。

「分かるだろ、察しろ」
「あーはいはい、やっぱりね」
「やはりそうだったか…」
「ちょっと、なにがやっぱりなの！違うからね、そういうことじゃないからねっ」
「そういうことってなに？ちゃんと言ってくれないと分からないなぁ」
「うっ…」
「A、飯！」
「なんだてつや、早速亭主関白気取りか」

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