77. 信じられない ページ27
まぁこれだけてつやがちゃんとした服着てるんだから今回は言われた通りにするか。
ってことで、仕方なく私はワンピースに着替え直した。
「これでいい？」
「ふむ、まぁ合格」
「なぜ上から目線…」
てつやに服のこと採点とかされたくないわぁ…
「じゃあ行くぞ」
「うん」
なんだか納得いかないけどてつやに促されたから私達は出掛けることにした。
車に乗り込みいざ出発。
「それで、どこにご飯食べに行くの？」
「んー？もう予約してある」
「え、予約？どこを？」
「それは着いてからのお楽しみだ」
なに、それどういうこと？
どこに連れて行かれるのかまったく予想できないまま、薄暗くなってきた街の中を車は走る。
私はなんとなく窓の外の流れていく街の灯りをぼんやりと眺めていた。
まあきっと焼肉とかだよねぇとかちょっと思いながら。
ところが、しばらくしてから思いもしなかった場所で車は停車する。
「…え、ここ？」
「そう、ここ」
うそでしょ、信じられない…
こんなの驚かないはずがない、だってその場所は市内でも有名な高級ホテルだったから。
私がこの現状を飲み込めずにいたら、いつの間にかてつやが助手席側のドアを開けた。
「何やってんだ、早く降りろ。行くぞ」
それになにも答えられず、私はただ言われた通り車から降りるとてつやの後をついていく。
するとホテル内にある敷居の高そうなレストランに入って行き、店員さんに名前を告げるとこれまた落ち着いた感じの個室に通された。
私は思わず周りをきょろきょろ観察してしまう。
それからメニューに目を通しているてつやに小声で尋ねる。
「ねぇ、てつや」
「なんだ」
「大丈夫なの？ここ絶対高いよ？私今そんなにお金持ってない…」
「なんの心配してんだよ、ここは俺が出すから安心しろ」
「え、でもそういうワケには…」
「Aの快気祝いってことでいいだろ」
「え、まさか捻挫の？そんな大げさだよ」
そんな会話の後、結局てつやはさっさと注文を済ませてしまいそのままここで食事をすることになった。
しかもすぐにシャンパンなんか運ばれてくる始末で。
もうこうなったらお言葉に甘えるしかないと、私は目の前のシャンパンに口をつける。
「おいしいっ、これすごいおいしい！」
「お前の場合は酒ならなんでもうまいになるんだろ」
「ちょっと、それひどくない？…まぁ、確かに当たってるかもだけど」
そんなことを話していたらなんだか少し緊張が解けて、私達は目が合うとそれを合図に笑った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 417人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かえで(プロフ) - みことさん» 有難いお言葉を頂き本当に光栄です。今後の執筆にとてもやる気がでました！これからの作品もぜひぜひお付き合い下さい。 (2018年2月18日 10時) (
レス) id: f1c141d7d3 (このIDを非表示/違反報告)
みこと(プロフ) - こんにちは！完結おめでとうございます！てつやさんオチの作品の中で1番大好きな作品です！これからもかえでさんの作品、楽しみにしてます！(≧ω≦) (2018年2月17日 21時) (レス) id: e05cb40cc5 (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - ゆうきさん» とても励みになるコメントをありがとうございます。2人の子供の話も書いてみようかなと意欲が出ましたw今後も続編考えていきたいと思います。またお付き合いくださいね！ (2018年2月13日 18時) (レス) id: f1c141d7d3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - こんにちは。コメント失礼致します。かえでさんの小説毎日の楽しみとして読んでいました！今回の番外編の更新もめちゃくちゃ嬉しかったです！！！子供生まれたあとのお話も読んでみたいです…(´；ω；｀) (2018年2月13日 15時) (レス) id: bd844e0957 (このIDを非表示/違反報告)
zawa-mina(プロフ) - かえでさん» はい！もちろんです！頑張ってください！ (2018年2月9日 19時) (レス) id: 2d47d3844b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かえで
| 作成日時：2018年1月24日 11時
