エイリアンズ Vol.2【東海オンエア】

76. 意識する ページ26

「はー足だいぶ動かせるようになったなぁ」

捻挫してから１０日程が経っていた。
ベッドに座って右の足首を色んな方向に曲げてみる。
もう痛みも腫れもほとんど治ってきていた。
私はよしって立ち上がるとリビングへ向かい、キッチンでお茶を入れる。
するとそこへてつやがやってきた。

「お茶飲む？」
「飲む」

私はてつや用のカップを取り出してお茶の準備を進める、と。

「足の具合いどうだ？」

そうてつやに聞かれたものだからつい動揺してしまった。

「あ、足の具合いですか？おかげさまでかなり良くなりました！」
「なんだよ、いきなりかしこまって…変なヤツだな」

焦ったー！
まって、てつやなんでそんなこと聞いてくるの？
どうしよう、変に意識しちゃうじゃん。
それを悟られまいと顔を伏せながらてつやにお茶の入ったカップを手渡した。

「サンキュー」
「…どういたしまして」

はぁー心臓に悪い、私の考え過ぎなのかな。
とりあえずお茶を一口飲んで心を落ち着かせてみた。

「A、今日の夜なんだが…」
「えっ！よ、夜っ⁉」
「わ、なんだ急にでかい声出して」
「ご、ごめん、夜がなに？」
「外出るか」
「外？えーと、なんで？」
「足もういいんだろ？久しぶりに飯食いに行こうぜ」
「あ、ああそういうことね」
「なんなんだ、さっきからお前は」

だめだ、意識しないでおく方が難しい。
そっかご飯ねご飯。
うん、それなら全然いいじゃんね。
いちいち変な風に考えるのはやめよう。

「どうする、6時頃ここ出ればいいか」
「え、うんいいんじゃない」
「じゃあそれまで編集やってるわ」
「うん、頑張って…」

てつやはカップを持ってまた部屋へと戻っていった。
私はふぅと一度息を吐く。
でもまぁ久しぶりの外食だからな、ちょっと楽しみ。



それから時は過ぎ、今は夕方6時になろうとしている。
私は支度を終えてリビングでテレビを見ていた。

「そろそろ行くか」
「あ、うん、あれ？」

てつやの格好を見て私は驚く。

「どうしたのその格好、ジャケットとか着ちゃって」
「は、いいだろたまには」
「それ合コン使用じゃん、まさかこんなまともなコーデしてくるとは…」
「うるせぇな、奇抜な格好に着替え直してきてやろうか？」
「やめてください！」
「てかお前もたまにはスカートくらい穿けよ、毎度毎度ジーンズじゃねーか」
「だって楽なんだもん」
「やり直しだ、着替えてこい」
「えーこれでいいよ、めんどくさい」
「早く」
「もーしょうがないな…」

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