53. 露天風呂付ダブルのお部屋 ページ3
「はーすごい…」
旅館を前にして思わず感嘆の声が出てしまった。
それは風情のある佇まいで、歴史があることが一目で分かる。
だけどとても手入れが行き届いているようで、まったく古さを感じないし清潔感もある。
そんな建物は山あいにあり、雪化粧された自然ととても調和していてそれはそれは素晴らしいものだった。
車から降りてきたてつやが私が持っていた荷物を手に取る。
「荷物寄こせ、持ってやる」
「え、自分で持つからいいよ」
遠慮したけど私のことは無視して、てつやはさっさと私の荷物を持って旅館の中へと入っていく。
私も慌てて後を追った。
「いらっしゃいませ、さぁ中にどうぞ」
とても品のある仲居さんが旅館の中に案内してくれる。
ラウンジでお茶を飲みながらチェックインの手続きをして、それから部屋へと通された。
「今日はこちらのお部屋になります」
仲居さんが部屋の襖を開けてくれた瞬間、私は絶句してしまう。
とても広い間取りにもびっくりしたけれど、問題はそこじゃない。
露天風呂付きな上に、布団がダブルベッドのみ…
衝撃を受ける私を他所に、仲居さんが部屋のことや食事のことなんかを一通り説明し終わると。
「それではごゆっくり」
と言い残して出て行った。
それを確認すると、座布団に座り旅館の案内に目を通すてつやに尋ねる。
「いやー部屋で飯食えるんだなーすげぇ贅沢やん」
「ちょっと、てつや」
「なんだ、どうした？」
「なんかベッドがひとつしかない気がするんだけど」
「あぁそうだな」
「…そうだなって」
なんだかそれ以上何も言えなくなってしまった。
そうだよね、やっぱりそういうことだよね…
本当は気づいてた。
そんなこと分からないようなもう歳じゃないし。
気づいていながら逃げていた、そしてそんな自分がいけないことも充分に分かっている。
「とりあえずお茶でも飲もうか」
「おー」
言葉少なにずっとてつやは案内を見てた。
てつやはてつやなりに色々思うことがあるんだろう。
覚悟しなくちゃいけない時がきたのかも知れない。
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かえで(プロフ) - みことさん» 有難いお言葉を頂き本当に光栄です。今後の執筆にとてもやる気がでました！これからの作品もぜひぜひお付き合い下さい。 (2018年2月18日 10時) (
レス) id: f1c141d7d3 (このIDを非表示/違反報告)
みこと(プロフ) - こんにちは！完結おめでとうございます！てつやさんオチの作品の中で1番大好きな作品です！これからもかえでさんの作品、楽しみにしてます！(≧ω≦) (2018年2月17日 21時) (レス) id: e05cb40cc5 (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - ゆうきさん» とても励みになるコメントをありがとうございます。2人の子供の話も書いてみようかなと意欲が出ましたw今後も続編考えていきたいと思います。またお付き合いくださいね！ (2018年2月13日 18時) (レス) id: f1c141d7d3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - こんにちは。コメント失礼致します。かえでさんの小説毎日の楽しみとして読んでいました！今回の番外編の更新もめちゃくちゃ嬉しかったです！！！子供生まれたあとのお話も読んでみたいです…(´；ω；｀) (2018年2月13日 15時) (レス) id: bd844e0957 (このIDを非表示/違反報告)
zawa-mina(プロフ) - かえでさん» はい！もちろんです！頑張ってください！ (2018年2月9日 19時) (レス) id: 2d47d3844b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かえで
| 作成日時：2018年1月24日 11時
