エイリアンズ Vol.2【東海オンエア】

51. 放課後 side RYO ページ1

Aを始めて見かけたのは高1の春。
学校の廊下ですれ違った時だった。
綺麗な顔をした子だなとついつい見入ってしまったことを今でも覚えている。


「てつや、Aって子知ってるか」

ある日の放課後。
部活中、準備体操をしながら隣のてつやに声を掛けた。

「A？」
「髪が肩くらいの長さで目が大きくて色の白い…」
「それ、俺の幼馴染だ」
「え、マジかよ」

まさかてつやの幼馴染だったとは。
こいつはラッキーと俺は話しを続ける。

「あの子紹介してくれよ」
「あ？やめとけやめとけ。あいつ超変わってるから大変だぞ」
「なんだよ、その方がおもしろいじゃん」

それにてつやは何も答えず、校庭のトラックを走り始めた。
どうしたんだ、いきなりテンション下がったな。
普段はうるさいくらい明るくてノリのいい奴なのに。
少し不思議に思いながら俺もその後を追った。


部活が終わって、てつやと俺は着替えの為部室に向かって並んで歩く。
日も暮れて、辺りはオレンジ色に包まれていた。

「今日マジキツかったな」
「だな…」

ちょうど校舎の裏手の死角に差し掛かったくらいに、二つの人影と話し声がした。

「あのさ、俺と付き合ってくれない？」

そうはっきり聞こえた、これ告白タイムじゃね？

「おいおい、まさかの現場に居合わせちまったな！ちょっと覗いてみようぜ」
「やめとけ、悪趣味じゃん」

てつやが興味津々でバレないようそうっとそちらへ近づいていく。

「おい！」

俺はてつやの後を追って、結局二人でこっそり覗いてみることにした。
まぁ実際、俺も気になってはいたし。
だけどそこにいた人物に驚く。

「A…」

最初はノリノリで覗きにいったてつやだったけど、告白されていた相手がまさかのAだったことにかなり衝撃を受けていた。

「男の方イケメンで有名な奴じゃん。返事どうすんだろ」
「どうせ断るだろ、あいつ付き合うとか興味ない言ってたし…」
「いいよ」

Aがてつやの言った言葉に反した答えをだした。
それを聞いて、隣にいたてつやは俺から見ても明らかに動揺していた。

「え、本当に？」
「うん、付き合う」

結果告白成功の瞬間を見届けてしまった俺達。

「…行くぞ」

てつやはそれだけ言って突然足早に歩き出した。
その姿を見て、あぁきっとこいつはAのことが好きなんだろうと俺は気づいてしまった。
近くにい過ぎてお互いすれ違ってきたけれど、今こうなったのは必然だったと俺は思っている。

52. そうだ温泉にいこう→

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