56. 朝がくる ページ6
なんだろ、どうしてこんなに心地いいのかな…
このぬくもりはなんだろう。
とても大きくて温かくて、心からほっとする。
たまに優しく髪を撫でられる感じがまた私を安心させてくれた。
誰？私は誰の腕の中にいるの…
「ん…」
瞼をゆっくり開いて、何度か瞬きをする。
まだはっきりしない視界と寝ぼけてる頭の中。
目を擦ってから気がつく。
「…てつや？」
「おはよう、A」
目の前、本当に近い距離にてつやがいた。
「…今日雨降るのかな」
「は、雨？なんだそりゃ」
「だって私より先にてつやが起きてるんだもん」
「そういうことかよ」
てつやの腕の中にいた私は、そのまま強い力で引き寄せられた。
あぁ、夢の中で感じていたあのぬくもりはてつやだったんだね。
「あったかい」
思わず胸に頬をスリスリしていたらてつやが笑う。
「なんだよ、A猫みたいだな」
「ねぇ、てつや」
「なんだ？」
「キスして」
顔を上げて上目遣いでてつやを見る。
そんな私を見て一瞬真顔になったけれど、ふっとてつやが表情を崩した。
「いきなりなんなんだよ、お前」
「ダメ？」
「今日どうした、本当にお前Aか？」
「私じゃなかったら誰だっていうのよ、夜のうちにすり替わったとでも？」
「あまりにも珍しく素直だからだ」
「それじゃあ普段は強情ってこと？」
少しむっとした私の唇にてつやの唇がそっと重なった。
何度も何度も触れるだけの口づけが続いて、また頭の中がぼーっとしてくる。
「いつもこうだと助かるんだけどな」
私から離れててつやがそう言った。
閉じていた瞼を開いててつやを見る。
いつものてつやなんだけど、私にしたら今までとは違って見えた。
なんだかうまく説明できないけれど。
「なんかもったいないしもう一回温泉入ろうかな」
「いいんじゃないか、それじゃあせっかくなんで…」
「一緒には入らないよ？」
「なんだよ、そこは譲んねーんだな。何もしないから風呂入るくらいいいだろ」
「どんな理屈よ…」
良かった、いつもの二人に戻れた気がした。
少し安心したけれど私はてつやに話を切り出す。
「ねぇ、てつや」
「なんだ？」
「もしも私のことめんどうになったらいつでもそう言って」
「は、めんどうになるってなんだよ？」
「え、だから…」
「勝手に俺の気持ちを決めつけてくんな！俺はお前を今まで一度もめんどうだと思ったことはないぞ、それはこれからもだ」
思わず涙が出そうになって、私はもう一度そっとてつやの胸に頬を寄せた…
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かえで(プロフ) - みことさん» 有難いお言葉を頂き本当に光栄です。今後の執筆にとてもやる気がでました！これからの作品もぜひぜひお付き合い下さい。 (2018年2月18日 10時) (
レス) id: f1c141d7d3 (このIDを非表示/違反報告)
みこと(プロフ) - こんにちは！完結おめでとうございます！てつやさんオチの作品の中で1番大好きな作品です！これからもかえでさんの作品、楽しみにしてます！(≧ω≦) (2018年2月17日 21時) (レス) id: e05cb40cc5 (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - ゆうきさん» とても励みになるコメントをありがとうございます。2人の子供の話も書いてみようかなと意欲が出ましたw今後も続編考えていきたいと思います。またお付き合いくださいね！ (2018年2月13日 18時) (レス) id: f1c141d7d3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - こんにちは。コメント失礼致します。かえでさんの小説毎日の楽しみとして読んでいました！今回の番外編の更新もめちゃくちゃ嬉しかったです！！！子供生まれたあとのお話も読んでみたいです…(´；ω；｀) (2018年2月13日 15時) (レス) id: bd844e0957 (このIDを非表示/違反報告)
zawa-mina(プロフ) - かえでさん» はい！もちろんです！頑張ってください！ (2018年2月9日 19時) (レス) id: 2d47d3844b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かえで
| 作成日時：2018年1月24日 11時
