OUR LIFE【アバンティーズ】 (ページ24)

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自転車泥棒 3 ページ24

今はこんなに近くにいるのに、でもどこか二人の間には見えなくても確実に遠い距離がある。

「なんか、彼女に悪いな…」
「別にいいじゃん、今はあいついないんだし」
「や、そういう問題じゃないでしょ」

この時えいちゃんには彼女がいた。
向こうからどうしてもって言われたとの理由で付き合うことになったらしい。
えいちゃんが告られるのはよくあることで、だけど毎回丁重にお断りしてたから今回もそうなんだろうと思っていたのにそれは違った。
まぁね、何回か見たことあるけど彼女めちゃめちゃかわいかったもん。
そりゃ断れないよね…
それからなんとなく二人に対して遠慮みたいなものが私の中に生まれて、余計にも前とは違うえいちゃんとの距離を感じるようになったのかもしれない。

「それよりさ。えいちゃん、こんな自転車持ってたっけ？」
「持ってるワケねーだろ」
「え、じゃあ誰の？」
「そらの」

…どうりでどっかで見たことあると思った。

「勝手に乗ってきた」
「それ普通に泥棒じゃん」
「そうとも言うー」
「だからあんたはしんちゃんかって！」

昔は私が支えてないと自転車乗れなかったくせに。
今じゃこんなに軽々私を乗せて、ぐんぐんペダルを漕いでいる。
なんだか不思議な気分、それだけ時が流れたってことなのか…
でも、なんとなく寂しいなぁ。
少ししんみりしていると、後ろの方から大きな怒鳴り声が耳に届いてきた。

「こらぁーてめぇ！俺の自転車勝手に乗り回してんじゃねーっ‼」
「あ、えいちゃん。そらとりっくんが追いかけてきたよ」
「ヤベ、おいA、しっかり掴まってろよ！」
「え、なに、ってわぁーー⁈」

猛スピードで走り出す自転車に慌てて私はえいちゃんにしがみついた。
後ろからはそらを乗せたりっくん運転の自転車が追いかけてくる。
変なことに巻き込まれちゃったけど(りっくんもね)、あの日はすごく楽しかったな。