OUR LIFE【アバンティーズ】 (ページ12)

今日:8 hit、昨日:0 hit、合計:25,670 hit

青空は天気雨【スクールアウトサイダーサイドストーリー】ページ12

ほんとのことをいえば、心の中はこんなに苦しいのに。
だけどあいつの前ではなぜか無理して笑顔を作ってる。
例えるなら、それはまるで…

青空は天気雨

【スクールアウトサイダーサイドストーリー】

「なんだよ、またお前ここにいたのか」
「あんたの方こそ、この時間になると必ずここ来るじゃん。そんなに暇なの？」
「暇なワケねーだろが。まぁちょっとした息抜きだ、これは」
「息抜きねぇ…普段のあんた見てるとそんな必要ないように思うけど」
「うるせーな！お前はどうなんだよっ」
「ふふ…まぁ、私もかなぁ」
「は？」
「私も。ちょっとした息抜き」

そんな私の返しにエイジは、俺と変わんねーじゃんって言いながら笑う。
エイジの笑顔は、目を細め、頬にはくっきりきれいに豊麗線が浮かぶ。

今は放課後、ここは学校の屋上。
この時間、人は滅多にやって来ない。
それをいいことに私は、随分前から放課後には決まってここに来るようになっていた。

たまに現実の世界から、どうしようもなく逃げ出したくなる時がある。
今の生活に特に不満があるというワケでもないけれど。
でもなんとなく、理由なしに突然何もかもに疲れてしまうから。

ある日ふと放課後にふらっと立ち寄った屋上。
少し日が陰り出した空と、遠くから聞こえてくる人の声。
現実の世界から少しだけ距離があるその感じ。
それがなんだかとても心地良かった。
そんなこの場所で、いつの日からか同級生のエイジと顔を合わせるようになっていた。

そして、エイジと二人きりで過ごす。
ほんのささやかなこの時間は、私の何よりの至福の時となっていった。