第廿伍話 ページ28
ザーッ
雨は止むことなく降り続けていた
はぁ、はぁ、はぁ
逃げなきゃ
これは、私?
私は小さな赤ん坊を抱えて走っていた
後ろから誰がが迫ってきている
!
ちがう、これは私じゃない
私が目を開けると
血だらけの女の人が私を抱えて走っていた
私が赤ん坊なんだ
「ごめんね、ごめんね…」
その女の人は泣きながらあやまっていた
「あなたをこんな悲しい運命
に巻き込みたくないの」
そう言って女の人は
私を草陰に隠して
もと来た方向に戻ろうとした
私が手を伸ばしても届くはずもなく
最後に私の姿を見て女の人は優しく笑った
そして、走り出した
その後すぐ
悲しい
哀しい
悲鳴が
雨の中で残響となって
私の耳に届いた
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作者名:千夜 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時:2019年4月14日 11時