０４.跡 ページ6
萩原は未だ釈然としない頭で、つい先程起きた現実とは思えない出来事を思い出していた。
いきなり現れ、一方的に俺の命を心配してきた謎の男。
....そして、首筋に感じた鋭い痛み。
『顔真っ赤だよ。可愛いねぇ』
｢ッ......｣
あいつに言われた言葉が、ぐるぐると頭の中を回り、俺はその場にへたり込んでしまった。
この通りは夜でも人が多い。道の端に居るとはいえ、突然へたり込んだ萩原に通行人は奇異の目を向けるが、しかし今の萩原にはそんな事を気にする余裕はなかった。
.....熱い。あいつに触れらたところが。
あの男の体温が、吐息が、声が、俺に溶け込んだ気がした。
『....じゃ、また明日ね？萩原研二くん』
｢ッ......、」
心臓がうるさいくらいに脈打つ。
思考回路が上手く働かない。まるで麻薬みたいだ。
首に手を当てる。熱はまだ収まらない。
｢ｯ〜、ｯｯ....クソ.....何なんだよ....｣
こんなの、まるで＿＿＿
自覚すると更に身体が火照り出した。
｢あ"ぁぁもう......」
｢....何やってんだお前」
｢ｯうおっ！？」
突然の声に萩原は飛び上がった。
｢じ、陣平ちゃん....びっくりした」
そこには、誰よりも見知った顔がいた。
松田陣平。萩原の唯一無二の友人であり親友でもある。そんな彼は今、目前の親友の奇妙な行動に顔を歪ませていた。
｢ンなとこ座り込んで何してんだよ」
｢.....ちょっと、考えごと」
誤魔化すように萩原は呟いた。
｢.....ふぅん？」
松田は萩原の隣に腰掛け煙草を取り出した。
｢吸うか？」
｢......お、う。サンキュ」
差し出された煙草を受け取り火をつける。
｢なぁ、陣平ちゃん」
｢あん？」
萩原がポツリと呟く。
｢....俺、変になっちゃったかもしんない」
｢ハァ？」
かもしれない、とは言ったがもうそれは確信に近かった。はっきりと肯定しないのは、口に出してしまえば本当にこの気持ちを認めてしまいそうで。
萩原の言葉に松田は眉をひそめる。
｢何だよそりゃ。どういう意味だ？」
萩原はどこか複雑な顔をしてふぅ、と紫煙を吐いた。
｢.....いや、やっぱなんでもねぇ。忘れてくれ｣
松田はすぐさま反論しようと口を開きかけたが、どこか熱の篭った萩原の目に気づき、口を閉じた。
｢.....そうかよ｣
松田はそれだけ呟くと、自分の分の煙草を取り出し火をつけた。
ずくりと首の跡が疼く。生憎、それは明日まで消えてくれそうにない。
終わり
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星雀(プロフ) - 一気読みしました〜！めっちゃ面白かった！更新待ってます (4月4日 18時) (
レス) id: ec0d3164c5 (このIDを非表示/違反報告)
奏 - 一気読みしました。とても面白かったです。気が向いた時にでもぜひ更新待っています。楽しみにしてます！ (2022年11月8日 0時) (レス) @page6 id: 70ab5e0956 (このIDを非表示/違反報告)
美園(プロフ) - とてもおもしいです！続き楽しみにしてます！！ (2022年10月9日 23時) (レス) id: eb4d0094ad (このIDを非表示/違反報告)
夜宵依 - 凄く面白かったです！続きはどうなるんでしょうか……！！更新頑張ってください！！楽しみにしてます！ (2022年8月10日 19時) (レス) @page4 id: 0da497ae3a (このIDを非表示/違反報告)
syrup - とても面白くて前作から一気読みしてしまいました…！！夢主くんのキャラもコナンキャラとの絡みもすごい好きです！無理せず更新頑張ってください…！！！！楽しみに待っています✨ (2022年8月6日 20時) (レス) id: 1c0f5a5ea6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くろくろ | 作成日時：2022年3月27日 22時
