朱龍の血を引く少女は「高華の獅子」

26話 逃げて ページ28

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血の匂い




やっぱ嫌いだ




腕に刺さっていた刀で兵達を次々と倒す




肩に刃が擦り、血が吹き出る




途端に視界が白くなりふらっとバランスを崩し、座り込む




「覚悟！」




『っ、嫌だね！後100年は生きる予定なので！勿体無い！』




肘を兵の顎に打ち付けた




多分砕けたかも




立ち上がろうと足に力を入れるも、また膝をつく




血が足らない




腕から血は止まらない




肩から胸に掛けて大きな切り傷




頬には切り傷が10個位




『…女性の顔は大切に。これ常識』




「…………失礼。女性でしたか」




『よし。歯ぁ食い縛れ』




足を振り上げ、股間に蹴りを入れる




今のは流石に許せん




刀を杖に立ち上がる




せめて袋槍があったらな




こんな奴らどうって事ないのに




『…姫様、逃げ…て…』




もう、私は死ぬかもしれない




私が死んだら姫様は直ぐに殺されてしまう




外に行ければきっとハクもミンスも居る




淡化を切った挙げ句、この状況はみっともないけどそれまでの時間稼ぎ位なら……




ヨ「……エースも、逃げなきゃ」




『私は残ります』




ヨ「っ！嫌よ！エースも一緒に『だったら早く。逃げて』嫌！」




『ヨナ！逃げなきゃ私が殺すわよ！』




ヨナがビクッと震えた




兵の刃を弾き飛ばし、姫様の前で片膝をつく




『私を生かしたいなら、早くハクを呼んで。信じて、待ってる』




姫様は歯を食い縛り、覚悟を決めて駆け出して行った




ス「…追ってください」




「は！」




『させるかぁ！！！』




腕はもうボロボロだ。碌に動かない




刀を兵に投げつける




怯んだ所を回し蹴りで吹っ飛ばす




あと、何人だ




血が足らず、ボーッした所を背後からの気配に気が付かなかった




頭に鈍い痛みを感じた




『痛っ！このっ「動くな！」……ちっ』




髪を掴まれ、首に刀を当てられる




「苦労かけさせやがって！」




『黙れ！裏切り者！』




悲しみが止めなく溢れてきた





午前中、稽古をつけた兵




背後で、もう二度と立ち上がらないイル陛下




冷たい目をした大好きな幼馴染み




今も死にそうな状況に立っている姫様




なんでこんな事に





『……どうして？スウォン……』




無表情で私を見るスウォン




涙腺が緩み、涙が溢れてきた




『……っなん、で…なんで！






貴方を！







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信じてたのに…………!』


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