【側に…いてよっ…！】 ページ29
「ウィーンっ…！！」
そこには同じように腹を貫らぬかれたウィーンが、グッタリとした様子でいた。当然だ、柄に近いほうが槍は太くなっている。ウィーンの方が重賞だ。もう間違いなく、助からない。
向かい合うように貫かれたウィーンはAを見て「あぁ、庇いきれなかったですね…。」なんて言って笑った。その笑顔は雨に濡れていた。
「な、なにやってっ…！！」
「Aを、一人には…したくなかった。」
「そんなっ…こと、別に！」
マカロフがA達を呼ぶ声が聞こえた。
Aはウィーンの服をギュッと握りながら涙を堪える。辛くて痛かった。するとウィーンが震えるAの肩を掴み、そっと抱き寄せた。氷混じりの雨で濡れたウィーンの体は冷たかったが、命の鼓動が小さく聞こえた。
「Aは、辛いのによく笑う子でしたね…。その笑顔に、僕は何度も…助けられました。でも、戦うときは…感情を押し殺し……戦う、その姿は…ピエロのように見えたこともありました。」
「ウィーンやだぁ、死なないで…お願いっ…。」
「A、大丈夫です…。」
「ウィーンっ…あぁ、いやだっ…いや！」
「…Aは、一人じゃないですよ…。」
辛いとき、顔を上げてください。そこにはきっと、Aを守ってくれる家族がいます。
そう言いAの額に口付けた。Aがウィーンの名前をと呼ぶ。ウィーンが動かなかった。
Aは涙をボロボロと流しながらウィーンの体を揺さぶった。頬から流れるのが雨なのか涙なのか分からないくらいに泣いた。「起きて、起きてよ。」と、何度も繰り返しながら。
だが、ウィーンはぐったりとしたまま動かない。Aは自分の意識が薄れていくのを感じながらも、ウィーンの服をギュッと握った。ウィーンの胸から命の鼓動はもう聞こえなかった。
「ウィ…ンっ……、ど、して…。」
溢れる涙は止まらない。ウィーンの瞳は閉ざされたままだった。Aの瞳から溢れ落ちる。腹に走る激痛などもはやどうでもいい。
「側に…いてよっ…！」
Aは段々と意識が遠くなるのを感じた。あぁ、死ぬのか。マカロフがAを呼ぶ声もどこか遠くで聞こえる。
その時、超圧縮魔水晶爆発機が眩い光を放つ。マカロフが焦ったように叫んでいるのが聞こえる。あぁ、ダメだ。もう意識がもたない。
「ウィ………ン…。」
Aはゆっくりと意識を落とした。そのとき、誰かに手を引かれたきがした。そしてそっと、手の甲を指で撫でられた。
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ヒカリ - 頑張ってね！応援してるからねー！ (2015年5月20日 15時) (
レス) id: afd4375f65 (このIDを非表示/違反報告)
海姫(プロフ) - ヒカリさん» 分かってるよ、(苦笑) (2015年5月16日 11時) (レス) id: b9de7aef37 (このIDを非表示/違反報告)
ヒカリ - でもこの作品が終わったら次の作品の約束忘れないでねー！ (2015年5月15日 16時) (レス) id: afd4375f65 (このIDを非表示/違反報告)
海姫(プロフ) - ヒカリさん» ありがとう！ そう言っていただけると助かります！ (2015年5月11日 0時) (レス) id: b9de7aef37 (このIDを非表示/違反報告)
ヒカリ - 私はずーと気長に待ってるね！ (2015年5月9日 16時) (レス) id: afd4375f65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海姫 | 作成日時：2014年6月20日 23時
