苦味 ページ27
Aはふっと海の底にいたような苦しさが遠のくのをしっかり感じた。
そして薄く瞳を開けると、一階の喫茶所で働いている赤毛のモンゴメリがAの顔を覗いていた。
Aを見るとぱっと明るい表情に変わる。
「起きたのね。
さっき、お宅の虎猫ちゃんから連絡があって、ウィルス異能者を捕まえ解除させたらしいけど、やっぱり異能なだけあって目覚めるのが早かったわね。」
「…匿ってくれていたんですね。
ありがとうございます。」
「いいわよ。
貴女、なんかほっとけないもの。」
モンゴメリはよく話すし、個人的にあってカフェに行ったりするくらい実は仲は良い。
つんとした表情の中に、優しさが見え隠れするモンゴメリがAは愛らしくて好きだった。
「モンゴメリさん。
度々申し訳ないんですけど、お願いがあるんです。」
「あら？
貴女が頼み事？ 珍しいわね。何？」
「ある処に行きたくて、手伝って欲しいんです。」
Aの瞳は真っ直ぐで、見たこともないような光を放っていた。モンゴメリは戸惑いながらも頷いた。
「あとは我々が引き受けましょう。
太宰くん。」
坂口安吾が云った。そして武装した特務課の男の一人がドストエフスキーに手錠を掛けようとした。そしてそれを見た太宰は「待て！！其奴に触れるな！！」と叫んだ。
だが男はもう掴む寸前だった。もうダメだと太宰が思った瞬間、手錠を掛けようとドストエフスキーに触れようとした男の手を白い手が伸び、ドストエフスキーから離した。
「触ってはいけませんよ。」
「Aちゃん…！」
その手はAだった。モンゴメリにビルディングまで送ってもらい、急いでここまでやってきたわけだ。
Aの姿を見て全員が驚いたように目を見開く。それはドストエフスキーも同じだった。Aは太宰達に眼をくべること無く、ドストエフスキーを見た。
「…お元気そうですね。」
「お陰様で。」
「貴女の今の姿を見たら中河与一は嫉妬してしまうのでは、」
「ないですか？」と続きを云う前にAが珈琲を掛けてドストエフスキーの言葉を止めた。Aの静かながら確かな怒りに全員口を閉じる。
ドストエフスキーは髪から珈琲を滴らせながら「お気にさわったのなら謝ります。」とにこやかに告げた。
Aはドストエフスキーを睨みながら「連れて行ってください。触らずに。」と告げた。
その言葉でドストエフスキーは両手を上げ、連行されて行った。
ラッキーアイテム
名探偵のメガネ
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海姫(プロフ) - 神夜さん» コメントありがとうございます！本名と一緒とか…、運命感じます(笑)。ってか可愛い名前ですね。羨ましいです！ (2019年1月24日 9時) (
レス) id: fe69d25c5e (このIDを非表示/違反報告)
神夜(プロフ) - 海姫っていう名前が私の本名と同じで思わず2度見してしまい気になったので見てみた所とても面白かったです！更新頑張ってください (2019年1月22日 0時) (レス) id: 1c640baa7c (このIDを非表示/違反報告)
海姫(プロフ) - 雪豹さん» コメントありがとうございます〜。正直原作沿かなり自信ないんですけどか頑張ります！ (2018年12月28日 20時) (レス) id: fe69d25c5e (このIDを非表示/違反報告)
雪豹(プロフ) - 続編、良いですね！楽しく更新を御待ちしておりますm(_ _)m (2018年12月24日 13時) (レス) id: 5c79542a8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海姫 | 作成日時：2018年12月23日 21時
