探偵社 ページ41
Aはゆっくりと瞼を押し上げると、何処かの部屋に一人でいた。そこで気がついたら寝ていた。藍色の空が見える。
窓から指す空の明かりは薄暗い乍も空は白んでいて、もうすぐ夜明けが来る。先程まで苦しいくらいに抱きしめられていたのに、今は誰もいないことに恐怖した。
あぁ、そうか。ここは探偵社。
私が、求めた場所。
ぼんやりと世界が滲んで、ゆっくりと世界から切り離される。
感覚がしない。
見えるのは藍、柔らかな闇。その中に、探偵社の白い天井。
あぁ、終わるのか、と目を閉じる。
たのしかったなぁ、思い出す。
入社試験、青い空にボールが飛んで、木登りした。
仕事しながら言葉遊戯をした。賢治くん、食べ物ばっかで可笑しかった。
原っぱの上で、敦くんと小川を眺めてパンを食べた。おいしかった。また行こうって約束してたのになぁ。
中也さんに美味しい葡萄酒を教えて貰って、本当にそれが美味しかった。
赤い顔で笑い掛ける中也さんが面白くて、素敵で。また葡萄酒一緒に飲みたかったのに。
風邪をひいた時、太宰さんがお見舞いに来てくれた。寂しくて寂しくて、泣きそうで。触れた指先が暖かかった。
ポートマフィアに連れて行かれて、怖かったけど、結局森さん優しくて、笑っちゃうなぁ。
私が体調悪い時、皆は過保護なくらい私を甘やかした。
柔らかな微笑みを浮かべる口元とは裏腹に心配そうに目元を情けなく垂らして心配してくれていた。
あーぁ、ナオミちゃんのお茶がまた飲みたい。
太宰さんと一緒に見た夜景をもう一度、見たい。
それから、
私幸せだった。
溢れるくらいに幸せ。
願うなら、夏は花火大会みんなで行きたかったな。
秋には紅葉を見て、みんなで美味しいもの食べて。
冬は、雪。大きな雪だるま作って、皆で鍋を食べて、お酒を飲んでそのまま眠る。
春になったら花見。桜を見上げてお酒を飲んで。
あぁ、ポートマフィアのみんなもいたらいいなぁ。叶わないだろうけど、きっと、中也さん飲みすぎちゃうね。見ててあげなきゃ。
そんなこと望んでた。
叶うわけないのに、どこか手が届きそうで。
触れるのが怖くて。
違う。
初めから手なんて伸ばしてなかった。
知ってた。
怖かった。
温もりに身を投じるのが怖かった。
後悔してる。
寂しいよ。
皆に会いたい。
今なら、ちゃんと言えるのに。
不意に、Aの身体に柔らかな感覚が体を包んだ。
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みるく(プロフ) - この小説はすごく美しく綺麗だなと思って、とても気に入っています!!!儚く美しい世界観というかなんというのか、語彙力がないですが、ものすごくいい作品でした！読ませていただきなんども涙を流しました！素晴らしい小説を作って下さりありがとうございますm(*_ _)m (2022年3月13日 9時) (
レス) @page45 id: a995b7f6e9 (このIDを非表示/違反報告)
海姫(プロフ) - 焔蘭さん» コメントありがとうございます。タイトルは夢主が文ストの世界に来た時、ビルから飛び降り落ちたので《空から落ちた》と入れて、幸せとは遠い子が人との繋がりで幸せになっていくので《薄倖美人》としています！後は夢主の異能が《空が分裂する》だというのもあります！ (2019年1月13日 19時) (レス) id: fe69d25c5e (このIDを非表示/違反報告)
焔蘭 - 初めましてで失礼します！タイトルの意味って何かあるんですか？そしてこれからも頑張ってください！ (2019年1月13日 16時) (レス) id: 98975d3783 (このIDを非表示/違反報告)
海姫(プロフ) - 乱歩ルート期待の敦くんの妹さん» コメントありがとうございます！乱歩さん…。乱歩の夢希望ですか？ 良かったら書きますので聞きますよ！ (2018年5月29日 12時) (レス) id: fe69d25c5e (このIDを非表示/違反報告)
乱歩ルート期待の敦くんの妹 - 乱歩さん乱歩さん乱歩さん(ぶつぶつ (2018年5月29日 0時) (レス) id: 4a14a6da47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海姫 | 作成日時：2017年8月6日 0時
