君のために世界を焼く。 ページ11
「では、四十万で落札です。
少年と、落札者に幸多からんことを。」
会場に拍手響き、舞台にぼんやりと立たされていた少年が引率されていく。人が競られるというのはなんとも異様な光景だった。
競っているのは値段がつけられない命というものなのに、此処でそれは無意味だった。熱くなる会場と、それを傍観する探偵社とポートマフィアの感情は冷めていく。
『各自、準備は整っているね? 』
『はい。』
乱歩の声に皆返答を返す。そして確かな緊張感に包まれる。皆胸に思うのは一人。その陽だまりの様な柔らかく暖かい儚い倖を繋ぎ止めるため。
「では次の品はこちらで御座います。」
煌々と照らされる舞台にゆったりとした動作で表れる着物を纏った少女。大きな瞳に小さな身体。そして纏う着物が儚さを醸し出していて、宛ら人形のように愛らしい。
「おぉ! 」
「これはまた佳人だ。」
舞台に立つ少女に観客から歓声が上がる。だがそんな客とはまた別に舞台に立つ谷川は「おや? 」と首を捻る。その言葉とは裏腹に愉しそうな笑みを浮かべ乍ら。
「君は一体?」
少女は谷川を見る。その瞳には確かな強い光が放たれていた。
「私は武装探偵社が一人。泉鏡花。
Aを返してもらう。」
「異能!!? 」
鏡花の背後に表れる夜叉白雪に観客が立ち上がり悲鳴を上げる。その声を合図に各自待機していた中也達が一斉に飛び出した。
「ふふ、
ーーーーーー。」
谷川はその様子に一人口角を上げていた。
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みるく(プロフ) - この小説はすごく美しく綺麗だなと思って、とても気に入っています!!!儚く美しい世界観というかなんというのか、語彙力がないですが、ものすごくいい作品でした!読ませていただきなんども涙を流しました!素晴らしい小説を作って下さりありがとうございますm(*_ _)m (2022年3月13日 9時) (レス) @page45 id: a995b7f6e9 (このIDを非表示/違反報告)
海姫(プロフ) - 焔蘭さん» コメントありがとうございます。タイトルは夢主が文ストの世界に来た時、ビルから飛び降り落ちたので《空から落ちた》と入れて、幸せとは遠い子が人との繋がりで幸せになっていくので《薄倖美人》としています!後は夢主の異能が《空が分裂する》だというのもあります! (2019年1月13日 19時) (レス) id: fe69d25c5e (このIDを非表示/違反報告)
焔蘭 - 初めましてで失礼します!タイトルの意味って何かあるんですか?そしてこれからも頑張ってください! (2019年1月13日 16時) (レス) id: 98975d3783 (このIDを非表示/違反報告)
海姫(プロフ) - 乱歩ルート期待の敦くんの妹さん» コメントありがとうございます!乱歩さん…。乱歩の夢希望ですか? 良かったら書きますので聞きますよ! (2018年5月29日 12時) (レス) id: fe69d25c5e (このIDを非表示/違反報告)
乱歩ルート期待の敦くんの妹 - 乱歩さん乱歩さん乱歩さん(ぶつぶつ (2018年5月29日 0時) (レス) id: 4a14a6da47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海姫 | 作成日時:2017年8月6日 0時