学園アリス〜君と一緒に〜【３】

story114 閉会式 ページ49

陽毬side

あの後、客席から溢れんばかりの拍手が降り注ぐ中、出演者全員でカーテンコールを終えた。

当然、僕と流架は王子と白雪姫という関係から、隣同士で挨拶をする事になったのだが、流架はあれからずっと顔が真っ赤にしていて、まともに顔を合わせることが出来なかった。

そんな流架の姿を見ると、やっぱり、親友だからってやっていいことには限度があることを痛感した。

流架に無断で悪いことをしちゃったな、なんて謝ったら許してもらえるだろうと、と後悔の念が押し寄せてくる。

棗にはこのミュージカルが終わった後、流架も合わせて話がしたいと言っていたが、こんな状況ではまともに話せないし、棗はあからさまに不機嫌だしで、なんとなくその場で解散した。

＊

パフォーマンス祭午後の部はアリス達によるパレードがあったらしいが棗も不機嫌だし、流架とも気まずいしで、見に行くことは無かった。そもそも僕は食べ物と自分と仲の良い人の出し物以外はさして興味無かった。
しかし、棗や流架と出会ってからアリス祭で1人になる事はなかったから、少し寂しい気持ちになる。

さて、日も暮れていよいよ今日のプログラムは閉会式を残すのみとなった。幹部生である僕と棗は嫌々ながらステージに上がる。

あれから棗は妙に苛立った様子で、何か話しかけようにも邪険にされるのが怖くて結局話せず仕舞い。彼を怒らせるような事をした心当たりがないから、謝ろうにも謝れない。このまま仲直りできないんじゃないか、なんて不安が頭をよぎり、不安に押しつぶされそうだ。

「ではアリス祭、優勝クラスの発表です！」

そんなこんなしているうちに、この3日間の成果に順位が付けられる時間が来た。

結果から言うと、優勝は蛍がいる技術系クラスだった。

技術系クラスはスポンサーが多く、一つ一つの単価が高い為、この結果も当然と言えるだろう。その他、今年度のキングと新人賞が発表された。
珍しいことに、今年は『クイーン』賞に該当する生徒はいなかったみたい。

また、蛍が最年少新人賞に選ばれたり、特別賞として、特力系の出し物『アラジンと魔法のランプ』が選ばれたりと、アリス祭は喜ばしい結末を迎えた。

蛍は150万円という大金を手に入れほくほくとしているし、翼は星なしたちは今までにないくらいいい笑顔を浮かべているしで、よいアリス祭だったのだろう。

表彰式の後、生徒会長からの長ったるいお言葉を右から左に流しながら、これからの事に頭を悩ませた。

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