だから、嫌いなんだよ。～彼がついた２つ嘘～Ⅰ～SJ～ (ページ7)

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５時間目ページ7

--Aside--

その日の五時間目。
移動教室のため、理科室に移動しないといけない。

？？「次って理科室？」
？？「早くいこ」

周りで交わされる、誰かが誰かを誘う会話。
その中に、私のAという名前が出ることはない
わたしは、みんなの姿がほぼ教室から消えたのを確認し、授業に使う教材を
持って椅子から立ち上がる。
教室のドアに手をかけると、それはやけに軽く開かれて・・・・・―。

「っきゃ・・・・・！」
「うわっ！」

廊下側からドアを開けた人物と同じタイミングで足を踏み出してしまい、その人物の体にぶつかって、床に尻餅をついてしまった。
カシャンッ！と音がして、目元にあったはずのメガネが床に落ちた。

「いたた・・・・」

思わず目を瞑って頭を押さえる。

「ゴメン！A！大丈夫？」

男子の声。

目を開けると、そこには一人の男子が私に向かって手を差し出している。
メガネが無いせいで、目の前がぼやけて見える。
だけど、その声を、顔を、見間違えたりしない。

　「ド、ンヘくん・・・。」
キュヒョン「ごめんな。痛くない？」

そういって彼は、差し出した手を引込めようとしない。
おそらく、立たせてくれようとしてるのだろう。
私はその手に掴まることなく、床に手自分の力で立ち上がった。

「別に大丈夫。」

優しくしてくれた彼とは裏腹に、そう冷たく言い放ち、
パシッパシッっとスカートのすそを払った。

キュヒョンくんは、「え・・・・・・あ・・・・、そう。・・・」

と引っ込みのつかない自分の手を複雑な表情で見つめていた。

これは、ちょっとした逆恨み。
私には・・・・これしかないのに。勉強しかないのに。

キュヒョンくんが、学年１位。

許せなかった。

友達も、笑顔も、学力も。

何でも持ってるなら、譲ってよ。私にはこれしかないんだから。