だから、嫌いなんだよ。～彼がついた２つ嘘～Ⅰ～SJ～ (ページ5)

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理事長の娘という存在。ページ5

ここの生徒にとって、私の名前は「娘」。理事長の「娘」
きっと、本当の名前なんて誰も知らない。
私をAと呼ぶ生徒は、この学園内にはいない。

？？「ってかさー、今時あの髪型ってどうなの？」
彼女たちの前を過ぎ去ったあと、背中のほうからコソコソと笑う声が聞こえた
?？「やめなって。聞こえるよ？」
やめろ。と言ってる割には、もう一人の声も笑っている。
・・・・・聞こえてるよ。言いたいことがあるなら、はっきり目の前で言ってよ。
自分の髪の毛を指でつまみ、下唇をかんだ。

真っ黒で、一度も色を入れたことのない髪。

腰まで伸びた髪を、校則通り耳の下で二つの三つ編みにしている。

視力の落ちた目には、度のきついメガネ。

全て、父の目を気にしてのこと。

私だって・・・・もっ可愛くなれたらって・・・、思ってる。

あなたたちみたいに、誰の目も気にしないで・・・・
また深くため息をつき、自分の教室までの道のりを歩いた。

教室のドアの前まで来ると、中の騒ぎの声が漏れて、耳に響いて聞こえる

教室の前方から入ろうと、ドアにかけていた手をピタッととめ、後方の
ドアまで移動する。
ドアをゆっくりと開け、教室の中に入る。
一番前の席には、たくさんの女子と男子の姿が。中心部にいる一人の男性
を囲っていた。

「やー！！なんでお前みたいなアホの子の魚が学年トップなんだよー！」

「アホの子とか、魚とか言うなーー！」

からかうように一枚の細長い紙をひらひらさせた男子に、中心部にいる男子が
笑いながらそれを奪おうとしている。
「キュヒョンが勉強してる姿とか、未だに一回も見たことないんですけどー?」

「さすがに授業中は真面目に黒板見て勉強してるし！」

笑いながらからかう女子に、そのまた男子がまたすかさず口を挟んだ。
彼が口を開くたびに、歓声が沸きあがる。うるさいくらいに・・・。