だから、嫌いなんだよ。～彼がついた２つ嘘～Ⅰ～SJ～ (ページ14)

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知らない人。ページ14

夕食を終えて、ふっ、と外に出たくなった。

着替えをすまし、外に出ると、すでに真っ暗。

「寒っ・・・・・」

感じる肌寒さに、着ている上着をギュッと握りしめた。

行くあてもなく、とぼとぼと歩いていると、

遠くから、太ったおじさんがあるいてきた。

よく顔が見えない。しまった。メガネを置いてきてしまった。

その人は、酔っているのか、顔が赤かった。

誰？こんな人知らない。

見えなくても、知り合いかどうかの区別はつくって。
だけど、間違えなくこの人物はほかの誰でもなく、私の前に立っている。

??「ユリちゃんだよね？」

は？誰それ。

「えっ・・・」

困惑していた私に、男性が話しかける。

ユリちゃん・・・？
私はA
この人、誰かと私を間違えてる・・・？

「いぇ・・・あの・・・・」
「俺、スンジなんだけど。ユリちゃん、思った以上に可愛いなぁ」
「あ・・・・だから私は・・・・」

否定しようとしても、男性は間違えたまま話を進める。

「じゃあ、行こうか」
「あっ・・・！」

そして、ろくに話も聞いてもらえないまま、肩を抱かれて強引に歩みを進められた。

「ちょっ、ちょっと待って！私は・・・・！」

なんかこれ、ヤバイ気がする。
人違いをするってことは、きっとその゛ユリちゃん゛の顔は知らないんだ。

なのに、、いきなり馴れ馴れしく肩を抱いて

ユリちゃん？・・・・
これってもしやしなくても・・・・・。
私の頭に浮かぶのは、一人の名前と、一つの単語。
゛キム・ユリ゛と゛援助交際゛
の文字。

この歩く先には確か、ホテル。

「やめてください！警察呼びます！」
「えぇっ！？」
この言葉にはさすがにびっくりしたのか、男性は足をピタッと止めた。

そして、不思議そうな顔をして
「なんだよ急に。誘ったのはそっちだろ？」
「だから違・・・・っ！」
「毎日一人で寂しいって言ってたじゃないか」
その言葉に一瞬言葉をなくす。
゛ひとりぼっち゛゛寂しい゛
それは私。

この人なら、私を必要としてくれる？
少しの間だけでも、そばにいてくれる？
独りにならなくてもいいの？

私は、男性に引かれるまま歩き始めたとき。

―「A？」