だから、嫌いなんだよ。～彼がついた二つの嘘～Ⅱ～SJ～ (ページ1)

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悪い目覚めページ1

―こんなに気分の悪い目覚めは久しぶり。

「いってきます。」
誰もいない家の中に出発の挨拶を告げ、重たい脚を
前に進めた。

本当は、学校なんか行きたくない。

昨日は、何かされてしまう前にすぐに逃げ帰ってしまったけど、
教室に行けば「彼」はいる。
見られたのが、全然知らない誰かならよかったのに。
だけど、仮病で休んだのが父に知られてしまったら・・・・。

「はぁ・・・」

思わずため息を一つ。

情けない。自分の父親が怖くて、仮病ひとつ使うことすらできないなんて。

どんな親子なのよ・・・。

足取りが重い。

昨晩のことを思い出すだけで頭がクラクラする。

―「嫌いだから。」

彼の声が、唇が、発した言葉。

ほかの誰でもなく、私に向けられた言葉。

「最低・・・。」

涙が出そうになるのを必死でこらえ、誰に聞かせるでもなく

小さな声で呟いた。