だから、嫌いなんだよ。～彼がついた二つの嘘～Ⅱ～SJ～ (ページ13)

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真っ暗な目の前。ページ13

―「こっちこいよ＾＾」

そういった彼。戸惑いながら後ずさりする。

近寄りたくない。

私だけに見せる、その笑顔が大嫌い。

二歩下がったところで、左腕を掴まれ、すぐさま前方に引き戻された。

「逃げんの？」
「や・・・・っ！」

とっさに掴まれた腕を離そうと試みても、力ではかなうはずもない。

「離して・・・・っやだ！」

いくら言葉で拒否を求めても、無駄なことはわかっていた。
それでも抵抗をやめる気はさらさらない。

「離してよ！大っきら―！」

そこまで言いかけた時、一番強い力で体を引き寄せられ、
そのまま彼の胸にすっぽりと収まってしまった。

目の前は、真っ暗。

黒い服。学ラン。

「は・・・・離して・・・・」

抱きしめられてるせいで、声がこもる。

「やだ」

頭の上から声がする。

「なんで」

心臓が騒ぐ音が、頭にうるさい。
こんなにくっついてたら聞こえちゃう。

「離しても逃げないって約束するなら「しない」
「じゃあ、離さない。」

ギュッと、抱きしめる力が強くなる。

もう無理。
だめ、聞こえちゃう。
ううん、もうきっとバレてる。
でも離されたら・・・・泣きそうな表情を見られてしまう。

それだけは絶対ダメ。
こんな人の前で、泣くなんて絶対にいや。

その時、教室のすぐそばから、ガタッと何かがぶつかる音が聞こえて―。