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76. 隙間 -side Yellow- ページ27

-side Yellow-

 ピピピッ

アラームが鳴って目を開けると、隣に眠るAちゃんの眉間に皺が寄っているのが見える。
相変わらず寝起きが良くないみたい。
目を開いてぽーっとしているAちゃんに声をかける。

「Aちゃん、おはよ。」

『……おはよ。優吾くん。』

掠れた声で返された。

「俺は起きるけど、まだ寝てたら?」

俺は長年お世話になってるテレビ番組の収録があるけど、Aちゃんの病院は午後からで時間に余裕があるはず。
あまりにも眠そうだから、思わず声をかけた。

『……起きる。』

「そう?」

寝てればいいのにって思いながら、体を起こしてリビングへと向かう。
部屋のカーテンを開けながら、Aちゃんに声をかける。

「朝ごはんどうする?」

『……お茶漬けがいい。』

少し考えたAちゃんがぼそっと言った。

「いいね、俺もそうしよ。」

冷凍しておいたご飯を温めて、お茶漬けを作る。
ほかほかの白い湯気が立ったお茶漬けに食欲をそそられる。

「いただきます。」

『いただきます。』

Aちゃんも同じように感じたのか、ぱっちりと覚醒して美味しそうにお茶漬けを頬張っている。

食べ終わってぼーっとしてるAちゃんに声をかける。

「Aちゃん。」

『ん?』

顔を上げたAちゃんが不思議そうな顔をした。

「どうかした?」

『何でもない。』

満腹で眠くなっちゃったかな。

それから、これじゃ寒いかなとか、後ろの髪跳ねてるよとか、なんてことない会話を楽しみながら、ゆっくり仕事に行く準備をする。



そろそろ時間だし家を出ようとして、Aちゃんがいつも通り玄関まで見送りに来てくれた。

『優吾くん。』

靴を履いていると、後ろからAちゃんに声をかけられた。

「んー?」

履き終わって振り返る。

『頑張り過ぎないで、ね?』

目尻を下げた優しい顔で言われた。

「ふふ、ありがとう。」

Aちゃんは"頑張りすぎないで"ってよく言う。
それはきっと"頑張ってるの分かってるよ"って伝えてくれてるんじゃないかな。

『じゃあ……行ってらっしゃい。』

ふわっと笑ったAちゃんが軽く手を振ってくれる。

「行ってきます。」

Aちゃんに手を振って、ゆっくりドアを閉める。
閉まるドアの隙間でいつも通りの笑顔で手を振るAちゃんと目があった。



この仕事が終わればまた休暇に戻れる。
頑張ろうって気合いを入れて、マネージャーの車に乗り込んだ。

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作者名:鞍月すみれ | 作成日時:2023年8月8日 18時

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