検索窓
今日:15 hit、昨日:6 hit、合計:18,336 hit

67. 雨の車内 -side Yellow- ページ18

-side Yellow-

マネージャーの車で久しぶりのラジオ収録へ向かう。
いつもはメインで頑張ってくれている樹が体調不良で念の為休養を取ることになって、北斗と二人のラジオだ。
北斗と一緒のラジオはいつぶりかなとぼんやり考える。


「高地。」

隣に座る北斗に呼ばれた。

「なに?」

返事をして右を見れば、真剣な顔の北斗と目があった。

「……高地はさ、恋愛的な意味でAさんのこと好きなの?」

マネージャーの流す音楽にかき消されそうなほど小さな声だった。
そういえば前にも似たようなこと聞かれたなって思った。
その時はジェシーに聞かれたんだっけ。

「恋愛的な意味とは違うかな。
 ほっとけないって感じ?」

自分の答えが完全にしっくりきた訳じゃないけど、上手く説明できなかった。
北斗の反応はほとんどなくて、意図が読めない。
ただ何かを考えているように見えた。

「……ずっと一緒にいたいって思う?」

と一息置いてから北斗に聞かれた。

「思う……けど、ずっとは無理なんじゃない?
 Aちゃんの記憶が戻ったら、お別れなんだと思う。」

Aちゃんはきっと元の居場所に戻りたいんじゃないかなってずっと感じてた。

「そっか。」

今度は北斗の感情が見えないほどあっさり短い返事が返ってきた。

「え、なに、気持ち悪いんだけど。」

って笑って隣の北斗を見るけど、北斗はぼーっと窓の外を眺めてた。
外には雨が降り始めた。



そのまま30分ほど車は走り続けた。
その間、北斗との会話は一言もなかった。
長い付き合いだし、沈黙なんて気にならない関係のはずなのに、今日はなんだか落ち着かなかった。

でも、声をかけることはできなくて、何度も北斗のほうを見るけど目線は合わなかった。
雨に濡れる街並みをぼーっと眺める北斗の横顔を見て、自分も窓の外に視線を移した。



ラジオが始まればいつもの北斗で、車での会話なんていつの間にか忘れていた。

外には雨が降り続いていた。

68. 君がいるだけで -side Yellow-→←66. ツアーは続く -side Yellow-



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (70 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
234人がお気に入り
設定タグ:高地優吾 , SixTONES
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:鞍月すみれ | 作成日時:2023年8月8日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。