66. ツアーは続く -side Yellow- ページ17
-side Yellow-
"横浜アリーナ"に続いて
"広島グリーンアリーナ"、
"マリンメッセ福岡"、
"愛知のガイシホール"、
"宮城のセキスイハイムスーパーアリーナ"、
"北海道の真駒内アイスアリーナ"
で3ヶ月かけて公演を行っていく。
横浜のミルフィーユで味を占めた俺は、その後もツアーで遠征する度にAちゃんへのお土産を買った。
広島のレモンケーキ、
福岡のバターどら焼き、
愛知の八丁すいーとぽてと、
宮城のずんだクリーム大福、
北海道のバターサンド。
幸せそうにスイーツを頬張るAちゃんを眺めるのが好きで、ついついお土産は多めに買っちゃう。
ある日、いつも通りに仕事から帰宅してドアを開けると、Aちゃんの出迎えがない。
あれ?と思ったけど、リビングの灯りはついている。
「ただいま。」
リビングのドアを開けて、声をかけた。
『あ、おかえり。
ごめん。気づけなかった。』
テレビの前で振り返ったAちゃんが申し訳なさそうに言った。
珍しくテレビが付いていて、女性の声が聞こえている。
「いいけど、なにしてんの?」
『体動かしてた。』
テレビでYouTubeを見ながら運動していたみたい。
「なんで急に?」
『……太っちゃったの。』
言い淀んで、不貞腐れながらそう言ったAちゃんに思わず吹き出す。
俺は太ってないと思うけど。
『ねぇ、笑わないで。』
そう言ってAちゃんが怒ってる顔を作ろうとしてるけど、ちょっと笑っちゃってる。
「ごめんごめん。」
一応謝ったけど、表情が可愛かったから笑っちゃったんだとは言えなかった。
『優吾くんのお土産美味しくて、食べすぎちゃったみたいなの。
だから運動することにした。』
そこで食べるのをやめないのがAちゃんらしい。
甘いもの大好きだもんね。
食べてる時の顔、幸せそうだなって思ってた。
そんな日々を過ごして、ツアーは追加公演の"京セラドーム大阪"と"東京ドーム"を残すのみになった。
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作者名:鞍月すみれ | 作成日時:2023年8月8日 18時