エンゼルランプ vol.2 (ページ2)

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51. 名前のない執着 -side Blue- ページ2

-side Blue-

レッスン室で固まった高地は見たことがない程に青ざめていて、緊急事態だって感じた。
すぐ放心状態の高地に駆け寄り、声をかけるけど聞こえていないみたい。
そのまま高地を揺すってやっと気がついた。

「Aちゃんが、倒れたって。」

今にも消えてしまいそうな声で高地が言った。
タクシーに一緒に乗って病院まで向かったけど、道中ずっと放心状態だった。

病院に着いて、看護師さんの説明を聞いた。
Aちゃんは眠っているだけで命に別状はないらしい。
それを聞いてふっと安心した。

それから売店に行った。
あんな様子じゃ何も喉を通らないかもしれないけど、食べられるものがあればと飲み物と一緒に高地の大好きなお菓子を大量に買った。
好きなものなら食べられるかもしれないから。

売店から戻って病室を開けると、そこは映画やドラマのワンシーンようだった。
二人きりの静かで真っ白な世界だった。
Aちゃんが静かに眠るベッドの脇に座る高地の猫背な背中が小さく震えていた。

たぶんだけど、高地が人に執着するのを初めて見た。
いつも柔らかい物腰で誰とでも仲良くできるのに、少し他人と距離を取ってるイメージだったから。
失うのを恐れるほど執着していることに驚いた。

それに、前にAちゃんを迎えにきた時のことを思い出した。
Aちゃんと内緒話をしていた俺に、

"樹、近いから。"

と言った高地の顔がすごく不機嫌そうだった。
あれは、嫉妬だと思ったんだけどな。

でも、

"恋愛の好きじゃない"

って高地が前に言っていたことも思い出した。
でも、俺にはとてもそうは思えないんだよな。

恋愛じゃないなら、高地のこの執着は一体なんなんだろう？
どんな名前がつけられんのかな？