46. 頼って ページ47
一定のリズムで呼吸する優吾くんの寝顔を見ながら、ぼんやり考える。
沢山助けてもらってたのに。
頑張り過ぎちゃう性格だって知ってたのに。
今朝だって顔を合わせてたのに。
優吾くんの不調に気付けてあげられなかったことが情けなかった。
自分に腹が立った。
頼ってもらなかったことが寂しかった。
もっと私を頼ってほしい。
「……ん、Aちゃん？」
目を覚ました優吾くんに掠れた声で呼ばれた。
『優吾くん。調子はどう？』
「大分楽になったかな。」
と答えた優吾くんの表情は明るい。
『よかった。お粥食べれる？』
「うん、ありがとう。
めっちゃお腹空いてるわ。」
へへって優吾くんが笑った。
『ねぇ、何で体調悪いって言ってくれなかったの？』
快復した様子でお粥をガツガツ食べる優吾くんを見ながら聞いてみる。
「だって、心配かけたくなかったし。」
少し小さくなった声に本音なんだって分かった。
ああ、頼ってもらえないって辛いな。
"頼られた方が嬉しいよ。"
前に田中さんが言ってたことを思い出した。
『頼られないって寂しいんだね。』
独り言とも取れる程小さな声がぽろっと溢れた。
優吾くんが手を止めてこちらを見る。
『優吾くんも寂しかった？
私が京本さんと田中さんと話した日。』
優吾くんは少し驚いた顔をして口を開いた。
「あーうん、気づけなかったの情けないなって思った、かな。
あと、……頼ってもらえないの寂しいなって。」
『そっか。
私ね、迷惑かけたくないって思って言えなかった。
でも、言えばよかったよね。ごめんね。』
優吾くんが少し微笑んで首を横に振った。
「俺もAちゃんに心配かけたくないとか、考え過ぎてた。
ちゃんと言えばよかった。ごめんね。」
八の字の眉で言った優吾くんに首を振った。
「あ！じゃあ、約束しよ。ね？
お互い変に気を遣わないで、相手を頼ること。
どんなに小さいことでも素直に話そ。」
明るい声で優吾くんが提案してくれて、雰囲気がぱっと明るくなった。
『うん、約束。』
小指を絡めて指切りをする。
私も子どもの頃、誰かとこうやって指切りしてたのかな。
記憶はないけど懐かしい気持ちになった。
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作者名：鞍月すみれ | 作成日時：2022年10月14日 0時
