エンゼルランプ vol.1 (ページ43)

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42. "とうまさん" -side Yellow- ページ43

-side Yellow-

Aちゃんには"大きな仕事"とぼかしたけど、ツアーに向けて忙しくなってきた。
二人でゆっくり夕食をとる時間が貴重に感じる。

『それでね、とうまさんが……。』

夕食の餃子を一緒に食べながらAちゃんのバイトの話に耳を傾ける。
身振り手振りをしながら一生懸命に話すAちゃんの姿が微笑ましい。
Aちゃんが楽しそうにバイトをしてるのは嬉しい。
めっちゃ嬉しい。

でも、また"とうまさん"。

最近Aちゃんの話に良く登場する"とうまさん"。

誰だよ、"とうまさん"。

名前からして若い男？
Aちゃんの話から一緒に働いてるのは分かるけど、大学生とか？
頭の中で勝手にイケメンの大学生が浮かぶ。
パン屋さんだから、ほんわか系のイケメンか？
色白で茶髪のふわふわの髪、わんこみたいな人懐っこい笑顔のイケメンを想像する。

なんて、気になるのになんとなく聞きづらい。
聞いちゃえばいいと思うけど、聞きたくない気持ちもある。

あの時は否定したのに、

"新しい出会いとか恋とかあるんじゃない？"

って言った樹の言葉と含みのある笑顔がフラッシュバックした。

『優吾くん？どうかした？』

あ、やばい、聞いてなかった。
Aちゃんが不思議そうな顔で俺を見てる。

「ん、なんでもない。
　Aちゃんが楽しそうで俺も嬉しいよ。」

と言えば、

『うん。楽しいよ。
　みんないい人だし。
　優吾くんはお仕事どう？』

とAちゃんが言って、話は俺の仕事の話に変わった。
メンバーの面白かったこととか、仕事で大変だったこととかを仕事の細かい内容には触れずに話した。
Aちゃんはいつもリアクションしながら楽しく聞いてくれて、ついつい話し過ぎてしまう。