41. 出会いとか -side Blue- ページ42
-side Blue-
ラジオに向かうため高地と二人で車に乗り込んだところで、マネージャーの電話がなった。
マネージャーが発信先を確認する。
「高地さん、田中さん、ちょっとすみません。」
マネージャーが車を降りて、高地と二人きりになった。
「Aちゃんさ、バイト始めたんでしょ？」
慎太郎から聞いたって高地に話しかける。
「うん、一週間くらい前から。」
こっちを向いた高地が答える。
「へー、何してんの？」
「パン屋さん。」
ほんわかした雰囲気がAちゃんにピッタリだと思った。
「へー、美味しい？」
「美味しいよ。
Aちゃんが貰ってきたパンを一緒に食べたんだけど、うまかった。」
その時を思い出しているのか高地が幸せそうな表情を浮かべた。
「えー、いいなぁ。」
その後もお店の場所とか雰囲気を聞いて、想像が膨らむ。
「あ！
でも、バイト先で新しい出会いとか恋とかあるんじゃない？」
ふざけて指ハートしてみたけど、
「いやいや、ないでしょ。」
呆れた顔の高地に速攻で否定された。
「えー、Aちゃんかわいいし。
人当たりいいし。
モテそうじゃん。」
きょもと3人でご飯を食べたときを思い出す。
「それはまあ、そうだけど。」
少し不満そうに高地が言う。
「いやー、あんじゃない？」
反応が良い高地に楽しくなって調子に乗る。
「アルバイトで一緒に働くイケメンとか。
毎日お昼を買いに来るイケメンとか。
配達員のイケメンとか。」
高地のころころ変わる表情に、ついちょっかいを出してしまうんだよな。
でも、流石にやりすぎたか？
高地の眉間の皺がだいぶ濃い。
「まぁでも、そんなのドラマの中の話だよな。」
フォローするように言えば、高地の眉間の皺が消えてほっと安心したような顔で言った。
「だな。現実じゃあり得ねぇ。」
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作者名：鞍月すみれ | 作成日時：2022年10月14日 0時
