エンゼルランプ vol.1 (ページ37)

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36. 頼って -side Yellow- ページ37

-side Yellow-

沢山助けてもらってたのに。
夢遊病になるくらいストレスがかかってるって知ってたのに。
毎日顔を合わせてたのに。

Aちゃんの不安に気付けてあげられなかったことが情けなかった。
自分より先に、大我と樹に悩みを打ち明けてたことが悔しかった。
忙しさを気遣ってくれたことはわかっているけど、頼ってもらえなかったことが寂しかった。

でも、不安を聞き出せたことはあいつらに感謝しなきゃな。
すっごく悔しいけど。

Aちゃんにはもっと頼ってほしい。

ふと思い出して、自分の部屋の奥から目当ての物を探し出す。
それを後ろに持って、リビングのソファで本を読むAちゃんのところに行った。

「Aちゃん。」

本を閉じたAちゃんがこっちを向く。

「これ使ってみない？」

じゃーんと言いながら、後ろに隠していた物をAちゃんの前に見せる。

『……カメラ？』

「うん、チェキ。」

はいってAちゃんにチェキを渡した。

『チェキってその場で出てくるんだっけ？』

興味深そうにチェキを見るAちゃんの隣に腰を掛ける。

「そうそう。
　Aちゃん、記憶がないことが不安だって言ってたでしょ？
　焦らなくて大丈夫って俺は思ってるけど、気になっちゃう時もあると思うから。

　今過ごしてる時間に目を向けられるように、写真撮るのはどうかな？
　チェキなら写真が増えてく様子が見えていいと思ったんだけど。」

『ありがとう。使ってみるね。』

ふわっと笑ったAちゃんが手に持ったチェキに視線を落とす。

「ね、一緒に撮ろうよ。記念に。」

思いつきで提案してみた。

『いいね、優吾くんお手本見せて。』

と言ったAちゃんにチェキを渡されたけど、自撮りしたことはなくて難しい。

「自撮り、意外とむずいわ。」

楽しそうな声に釣られて隣を見ると、俺が苦戦してる様子を楽しそうに見ていたAちゃんと目が合った。

　カシャッ

「あ、待って。今押しちゃったかも？」

予想外のタイミングに笑いが溢れる。

『えー今？変な顔してたらやだな。』

写真が浮かび上がるのを二人でドキドキしながら待った。
出来上がった写真を見れば、笑顔でお互いを見てる二人が左に寄って写ってた。