エンゼルランプ vol.1 (ページ32)

今日:9 hit、昨日:5 hit、合計:34,156 hit

31. 姫 -side Pink- ページ32

-side Pink-

6人での仕事の帰り道、趣味のポケモンgoをしながら、あてもなく散歩してた。
信号待ちでふと横を見ると、見覚えがある女の子。

「あ。」

高地の家にいた子、Aちゃんだと思い出して、思わず声が漏れた。
その声にAちゃんがゆっくりこっちを見る。

「高地の、えっと、Aちゃんだよね？」

声をかけると、Aちゃんは不安そうな顔をしてから思い出したように、

『あ、京本さん。』

一度しか会ってないのに名前が出てきたことが嬉しくて、思わず笑顔になる。

「どこ行くの？」

『どこって訳じゃなくて、気晴らしにお散歩です。』

「気晴らし？」

あ、うーんって呟いたAちゃんは、少し困った顔をして言葉を探しているみたい。

『一人で家にいると、色々考えちゃって。』

困ったように眉を八の字にして笑いながら、そう言った。

「じゃあ、話聞かせてよ。
　高地の仕事が終わるまでまだ時間あるでしょ？」

確か高地は21時くらいまで仕事が入ってたはず。
まだ遅くない時間だけど、二人きりは良くないよね？

「もう一人呼んでもいい？
　一緒にご飯食べよ。」

『え、はい。』

Aちゃんが戸惑いながら頷いた。

高地に連絡すると言ったAちゃんに俺から連絡するからと伝えて、自分のスマホを取り出す。
グループの共有スケジュールを確認して、さっき別れたばかりの樹にメッセージを送った。

大我樹、高地の姫捕まえた
大我ご飯行ける?

予想通りすぐに既読が付いて返信が来る。

樹Aちゃん?
樹行くから、場所送って〜

樹が来ることを確認して、贔屓のお店にアポを取る。

高地には
大我高地の姫と一緒にいるよ
とだけ送った。
スケジュール通りならまだテレビ番組の収録だし、スマホを見ている時間はないだろう。
メッセージを見た高地の反応が楽しみだ。